■物事を少し深く考える癖をつけてみるのはいかがですか?
先日のこと、とあるご飯屋さんでの出来事です。
最初に結構イライラした話と、その後にスカッとした話をしたいと思います。
あるお昼休み。
私があるお店に入ると、そんなに席がないお店だったこともあり、空き席が少ししかないくらいの繁盛店でした。
ただ、席が空いていないとのことで少し待つことになりました。
その間にもお客さんが何組か入ってきます。
5分くらいすると席が空いたとのことで案内されたのですが、私の次のお客さんが案内された時に問題が起こります。
少し高齢なご夫婦が呼ばれたのですが、それを聞いたもう一組のお客さんが、大声でこういったのです。
『こっちは予約してんだぞ!そっちじゃなくてこっちを先に案内しろよ!何分またせるんだ!』と・・・・
あぁ予約しているなら、そっちを優先しないとねって思って聞いていたのですが状況は少し違うみたいです。
『ご予約は12:30で頂いております。まだ12時10分なので、優先的に案内は出来ませんので、順番をお待ちいただくか、予約時間までお待ち頂けますか?』とのこと。
それじゃーお客が悪いねってことで、そのまま引き下がるかと思っていたら、そうではなくまだ食い下がっていました。
店の予約システムが12:30からしか空いていなかったとか、電話で12時にしようとしたが、繋がらなかったとか・・・・
まあ自分達は悪くないのだから優先しろって態度でした。
正直、この時点でイライラです^^;
聞きたくなくても聞こえてくるので耳に入ります。
店員さんも困ってしまって、あたあたしていると、先ほどのご夫婦が一言。
『なら私達は後で良いので、先にこの方々を案内してあげて』と・・・
中々出来ない対応に、個人的にちょっと感動を覚えていましたが、店員さんはそれは申し訳ないから出来ないと・・・
しかし、お客さんの方はそういっているんだからさっさと案内しろとの一点張り・・・
ご夫婦もほらって感じで、店員さんを促してあげて、結局はそのお客さんが先に案内をされました。
そして都合の悪いことにその席は私の隣^^;
そのお客さん達の会話が丸聞こえなんです・・・
その会話なんですが、まあ聞くに堪えないもの・・・
『こっちが予約しているんだから当然じゃん!』とか、
『予約している人を優先しないなら予約何て無くせばいいのに』とか、
『にしても、あの爺さん達、かっこつけてダサくね?かっこつけても得なんてなんもないじゃんね(笑)』とか・・・
正直、ご夫婦のお陰で下がった留飲が、火山のように再度吹き出しそうでした。
そうこうしていると、おのお客さんに店員さんがメニューを聞きに来るタイミングでこう言っていました。
『本日予約頂いたメニューですが、予約時間に合わせて作っているためまだ出来ておりません。
ご予約時間には出来上がりますが、お待ちいただけますか?
それが待てないのならキャンセルは承りますので、他のメニューからお選び下さい。』
それを聞いて再度大声を上げる、お客さん達・・・・
この店のOOが有名だからきた、他の物は興味ないとか。
他の客もOOを食べているんだから、本当はあるだろうとか・・・
こっちは客なんだから、しっかりとした対応をしろなど・・・
まあ、また言いたい放題・・・・
それでも今回は店員さんが食い下がって、あと本当に出来ていないのでしょうから提供はまだ出来ないと一点張り。
それでも2、3分すったもんだした結果、私の隣のお客さんから、『私達の後で良いから、先にそっちに提供してあげて』と・・・
店員さんはそんなの駄目ですとか申し訳ないですみたいな会話をしていましたが、隣のお客さんはいいからいいからと。
そこで、店員さんはありがとうございますといって、先にお客さんに提供することにします。
そこから料理が出てくる間は、静かでしたが、料理が出てきたらまた騒ぎ出します。
料理が不味い。こんなのコンビニと変わらない。
仕上げが下手くそ、素人が作っているのか。
客の対応から料理の出来まで、不信感しかない。
こっちは金払ってるんだから、しっかりとしたものを作って欲しい。
この件は皆に伝えた方が良いからインスタであげようぜ!などなど・・・
ちなみにそのお店は、他の客に迷惑が掛かるからとのことで、写真の撮影やインスタなどのUPは禁止と玄関に大きく書かれているお店です。
そんな状況をみて、店員さんがお口に合わないなら調整しますがなんて言っていましたが、お客さんは、『もういいよ、どうせ信用出来ないし』みたいな対応で・・・・
まあ、そんな感じの呆れるくらいの大声での会話や対応にイライラしていると、店の奥から店長さんかな?シェフみたいな方が出てきて、お客にこう言います。
そんなに文句があるんなら、もうお代はいらないから出ていって欲しい。
自分の料理が不味かったのは申し訳ないが、他のお客さんのに迷惑になっているので、お願いしますと・・・
それを聞いたお客は怒るのかな・・・って思ったけれど、なんと喜びだしました^^;
『まじで!ただで良いんだよね?!ラッキー、じゃあ出ていきま~す』
そんな感じで、店をウキウキとした態度で出ていきます。
そして最後に聞こえた一言が本当に頭に来ました。
『ほら日頃まじめに生きているから、こんなに良いことが起きるんだぞ!(笑)』
これを本心で言っているのなら、ちょっと私はお付き合いが出来ない人種の方々だと思いました。
■その後に心が温まる展開が・・・
そんな感じでお客さんが出ていったあと、心温まる展開が待っていました。
まず先ほどのシェフ?の方が、他のお客さんに聞こえるような声で・・・・
『ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。不快な思いをされた方にお詫び申し上げます。
私の料理と店の不都合でご迷惑をお掛けしました。
つきましては、当店からお詫びとして皆様にデザートを提供させて頂きます。
また、デザートが苦手な方は他の物で対応致します。
順に店員が回りますので、お好きな物をお伝えください』と・・・・
そんな寛大な対応に少し感動をしていると、先ほどのご夫婦がこういったのです。
『シェフが作った料理はどれも美味しかった。あのように非難を浴びるものなんて一つも無かったよ。だからお詫び何て要らないよ。私達はこんなにおいしい物を食べれただけで十分』
それを聞いた他のお客さんも同調して、私もいいよ、こっちも大丈夫なんて話になり、私も流れに乗ったかのように、私も大丈夫ですって言っちゃいました^^;本当はデザート食べたかったけれど(笑)
その流れに感動しっぱなしでした。
店員さんとシェフ?さんはありがとうございますと深々と頭を下げて、中に戻っていきます。
そこからはゆっくりとしたお昼タイムで、本当に美味しい料理を頂けました。
何回か来ているお店だったので、味は知っているはずでしたが、いつもよりもより美味しく感じました。
そしてお会計の際には、店員さんがきょうはありがとうございましたと、合わせて次回に使えるクーポン券を頂けました。
美味しくも食べられたし、お得なクーポンももらえたし、日頃からまじめに生きているからこんなにいいことが起きるんだなーっと思ってお店を出ました。
■結局得をしたのはどっち?
今回の話は少し脚色しましたが、ほぼ実話の話です。
さて、この中の話で結局得をしたのは誰なんでしょうか?
予約も待たず入れ、待ち時間がなく料理が食べられた人でしょうか?
はたまた、シェフ?他のお客さん?
こんなことは問う必要がありませんよね?
聞かなくても正解は分かると思います。
■このような思い違いが家を悪くする。
さて、今回の件ですが、態度が悪かったお客さん達は実は悪気はなかったように見えました。
悪意を持ってそうしてやろうと言うよりは、それが正しいと思ってやっている、そんな感じです。
確かに予約をしたのだから、優先されるのはおかしくないことですし、形はどうあれ先に入店したのだから、料理の提供はそれなりにしてもらえるべきではあります。
また、料理は私は美味しいと思っていますが、味覚何て人それぞれですから不味いと感じてもおかしくはないのです。
それを人に伝えて、不味いものを食べさせないとする気持ちはある意味正義の心からきているものです。
このように、冷静に見ればそんなに悪いことをしていないのですが、結果はいいことになっていません。
それはなぜ起こるのでしょうか?
その原因は『思い違い』によるものだと考えられます。
実は住宅の建築にもこのような『思い違い』は多く起きています。
よく聞くも思い違いが・・・・
・言った物と違う
・出来上がりが汚い
・丁寧さが足りない
・言ったのにそうなっていない
などですね。
こういったことは0から造っていく注文住宅にはよくあることです。
特に企画がない住宅の場合は多数出たりします。
しかし、これらは修正や掃除、やり直しなどで対応することが出来ますし、多くの会社はそうしています。
それは、造る人も真剣に作っているからです。
造る人も少しでも良い物を提供したいですから、真剣に作ります。
だけど、造る人全員が人間国宝みたいな素晴らしい職人ではないですし、人間ですのでどうしてもミスや見落としをします。
だから、そういった部分は修正や補修、やり直しをするのが当たり前なんです。
また、言った言わないは達が悪いです。
言った側のニュアンスと、聞いた側のニュアンスが違えば、それだけで違った物ができます。
特に住宅の場合は0から造るので、よりその違いが大きくでます。
その際にはまた訂正などを行い対応し、条件に合うようにしていきます。
しかし、一定のお客さんはこういったことが許せません。
手抜きでやったから、職人が下手くそだから、管理する人が仕事をしていないから等色々な気持ちがあって許せなくなります。
そういったことが繰り返されると信頼を失い、全てのことを疑うようになります。
ちなみにこういった言い方をすると、お客さんが悪いように思えますが、お客さんからしたら当然の気持ちです。
大金を払って頼んでいるんだから、そういった物は無いようにして欲しいし、そうするべきだと。
これは私もお客さんであったら、少なからず持っている気持ちだと思います。
また、今回不味いとかのくだりがありましたが、実はそのお店の料理、ある程度人を選ぶ料理なのです。
本格的に香草やスパイスを使っている料理なので、実は苦手な人も多くいます。
特に日本人はそういった料理に馴れていない人が多いので、そうった反応になるのはあながち間違えではないのです。
また提供も日本料理のように丁寧にされるものではなく、ある程度ぶっきらぼうに出される料理です。
そういったものを知らない人からみたら、汚いと言われるのも分かる気もします。
私はそういった本格的な味が好きだったので美味しかったですが、初見でそういったものを食べたことが無い人だと、今回のお客さんみたいな反応をしてもおかしくはありません。
まあ、それをどう言うのかという問題はありましたが^^;
さて、ここまでくると、この先に生まれるのは信頼ではなく、クレームです。
言う方も言われる方も気持ちがよくないことが続きます。
また、よくないだけならまだいい方で、精神的なダメージを追い、立ち直れない人も出てきます。
これは言う方も言われる方もです。
ただ、これは先ほど言ったように、どちらも自分達に『正義 』があると思っています。
それを私は『思い違い』と言っているのです。
■だから量産される陳腐な住宅
その結果今住宅業界で何が起きているかと言うと、金太郎飴みたいな家の量産が進んでいます。
どこで建てても、誰が建てても同じ家。
個性も無く、良いも悪いも無い家。
そんな家が量産されているのです。
理由は先ほど言ったとおり。
『思い違い』によるクレームを防ぐには、こんな量産された家を造っていくしか方法がないからです。
こういった家を造れば、自分の家はこんな感じになるんだと、他の人が建てている家を見れば分かります。
また建てる方も、毎回同じものを造ればいいので、経験が溜まっていき、ミスも間違えも減り精度も上がっていきます。
こういったメリットがあるので、金太郎飴住宅はメリットがあるのです。
特に、売る側からしてみたら大きなメリットなのです。
色々考えなくても買う側から文句を言われないこと。
これって大きなメリットですから・・・
しかし、同時に大きなデメリットも存在します。
それは住宅の陳腐化です。
毎回同じ家を造るので、住宅の個性も何もありません。
また、インスタなどで見るオシャレな物を作って欲しいと言っても、多くの会社が『出来ない』と言います。
理由はいつもと違うから、それはクレームの元になるので造らないって発想です。
本来家は造る側のものではなく、買う側の物なので、造る造らないは買う側が決めないとおかしいです。
しかし、金太郎飴住宅では、造る側が造るものを決めるのです。
そして、それが嫌だったら他社で建てればいいじゃん?と・・・・
そんな状況だから、今の家は魅力が無くなったとして、欲しいと言われる住宅が少なくなってしまいました。
生きるために必要な家はまだある程度の需要がありますが、それ以外の欲しいから建てたいって需要がほとんどなくなったため、住宅建築の需要は年々下がっています。
少子化の波もあると言われていますが、個人的にはその波以上に魅力が無くなったことが原因だと感じています。
■同じことが起きてるのがTV業界
今回のことと同じことが起きているのがTV業界です。
今のTVは昔のTVに比べつまらなくなった・・・・
そんなことを聞くことはありませんか?
また、今のTVは昔やった物のコピーや模造品ばかりで新しさが無いとか。
これを生み出しているのがやはり『思い違い』
そして、TV業界はその思い違いが見る側に極端に有利な状況になっているから、こういった状況になっているのです。
思い違いは言い返せば『正義』のすれ違い。
見る側と作る側の『正義』が合致している時は良いのですが、そうではない場合、TVでは圧倒的に見る側の正義が強くなります。
だから、正義に触れない番組を金太郎飴のように量産していく。
その先には当然目新しさはなく、どこかで見たような番組ばかり。
映画やドラマは、漫画やアニメで売れた実績のあるものや、続編や見たことがあるような題材のみでの作成へ。
ニュース番組はどのチャンネルも同じことを報道し、考えや言い回しもほとんど一緒。
また、新しいニュースもネットのスピードには負けてしまいます。
だから、見る側としたら正直飽きてしまっている番組や知っている情報ばかり^^;
そんな魅力の無い物を誰が見るのでしょうか?
その結果、youtubeなどは皆見ますが、TVは家に1台も無い。
そんな人が増えているのです。
■『思い違い』を無くす方法とは?
さて、私は今回上げた『思い違い』は悪いことだと思っています。
思い違いがあるから、冒頭に起きたような問題が起こります。
こんな問題が起きてもいいことは何一つありません。
なので、こういった思い違いは少しでも無くしたいと思います。
そこで、その思い違いの無くし方をお教えしておきたいと思います。
その方法とは、『造っている側は絶対に適当な物を作ろうとしているわけではない』
このことを忘れないことです。
住宅も、飲食も、それ以外の物、事。
今の日本にいる限り、ほとんどの物が真剣に作られています。
とは言っても、昔の刀職人のように、命を削ってまで真剣にまでやっている人は多くはありませんが、しっかりとした自分の役目を精一杯努めていることは確かです。
そんな人につくってもらっていると考えれば、少しは考えることもありますよね?
また、逆に作っている側は、今作っている物が出来ることでどれだけの幸せが生まれているのかを考えることです。
それが住宅でも、食べ物でも服でも、コップだとしても、自分が真剣に作ったそのものが多くの人達の幸せを作るものや事になる。
これは、絶対に曲がらない真実です。
それを目指して、更に真剣に取り組む。
それが出来れば、どんどん思い違いが無くなっていきます。
こういったことの積み重ねでいい物は生まれていきます。
何か問題が起きたら、生まれたきた感情のままに叫ぶのではなく、少し考えてみて行動をする。
すると、よりいい結果になることが出来る。
今回の経験は、そんなある意味当たり前なことを体験出来た貴重な時間でした。
皆さんにも伝わればいいなと思い、今回の記事としました。
今回は、ここまで
では、また!