
【700万円台の家づくり】
ちょっと立ち止まって考えてみよう
こんにちは、店長です。
最近、「700万円台でマイホームが建てられる」という広告をよく見かけるようになりました。
住宅価格の高騰が続くなかで、この逆を行く価格帯は確かに魅力的です。
「これなら手が届くかも!」と思わず前のめりになった方も多いのではないでしょうか。
ですが今日は、あえてこの「700万円台の家づくり」について、少し立ち止まって考えてみたいと思います。
決して全否定ではありません。
むしろ、だからこそ冷静な視点が必要だと思うのです。
「700万円台」の数字だけが先走る現実
まず最初にお伝えしたいのは、「700万円台」というのはほとんどの場合「建物本体価格」のことだということです。
土地代はもちろん含まれていませんし、外構工事やインフラの引き込み工事、設計費用や申請手数料、家具やエアコンといった生活設備も別途必要になります。
実際には、総額で1,000万円〜1,200万円ほどになることが多いのが現実です。
「それでも安いじゃないか」と思われるかもしれません。
確かにそのとおりに安いです。
ですがここで注意したいのは、「必要な費用が隠れていること」と「選択肢の幅がかなり限られること」です。
700万円台で収めるということは、それだけ使用できる建材や設備も絞り込まれるということ。
「この価格なら仕方ないか」と思うか、「せっかくの家だからもっとこだわりたい」と考えるか。
ここが家づくりの分かれ道になるのです。
悪意のある営業手法に気を付けて
こういった商品構成は昔から悪意のある営業手法であることが多いです。
先程言ったように、実際には1000万円~1200万円の商品を、広告上では700万円台とうたって商売をする。
この時点である程度の悪意があると思っていいです。
これが3000万円の家が3500万円なら、まあそんなものでしょ?って感じるので悪意は感じらませんが、700万円台はやはり人の心の隙間を狙っています。
それをそのまま販売すれば、悪意があるどころか、ある意味革命的で良心的な会社だと思いますが、実際にそういった会社は多くないと思っています。
当然全ての会社の状況を知っているわけではないので、ここで書いていることが逆に悪意があってそういった会社を貶めていることになっているかもしれません。
なので、私の言葉を信じ切らず、その会社の営業手法をしっかりと見て、良い悪いを判断してもらいたいと思います。
暮らしは「住んでから」が本番
私たち明工建設がいつもお伝えしているのは、「家は建てることがゴールではなく、住んでからが本番」という考え方です。
700万円台の家は、間取りも設備もシンプルで無駄のない設計です。
最初は「これで十分!」と思えるかもしれませんが、暮らしが始まると次第に「あれ?もう少し余裕が欲しいな」と感じることが出てきます。
例えば、断熱性能。
コストを抑えるために断熱材の厚みを減らしたり、サッシの性能を落とすケースが多く見られます。
その結果、夏は暑く冬は寒い、エアコンが効きにくいという状況に。
初期費用を抑えても、冷暖房費が高くつけば結局は家計を圧迫します。
目の前の「安さ」に飛びついてしまうと、長い目で見たときに損をしてしまうかもしれません。
また住み心地も大きなポイントです。
あえてとげがある言い方で言いますが、住宅は犬小屋ではありません。
雨風が防げればそれでいい、それだけじゃありません。
住んでいて快適で、今の時代なら暑い寒いも気にしなくて良い家。
それが住宅としての最低限のはずです。
先ほど言ったように、冷暖房費が高くつけば家計を圧迫しますので、そういった家はいつかは冷暖房をしなくなります。
理由はお金がもったいなく感じるから。
そうなったら、天然の冷暖房の家になります。
夏暑くて、冬寒い。
もう一度とげがあることを言いますが、それで本当に良いのでしょうか?
昔から住んでいたとか、前からそういった家だと言ったそういった家ならそれでも良いと思います。
ですが、これから作り、そして何十年も住んでいく事を考えるなら疑問点が残ります。
そんな家はいくら安くても必要がない・・・とまで言うのは言い過ぎでしょうか?
当然700万円台の家が全てそういった家だとは言いません。
しかし、2023年の全国での平均住宅単価が3000万円を超えています。
そういった事実を考えると、700万円台の家はどうやっても性能が落ちるとしか考えられません。
その事実も考えていかないといけないですよね。
メンテナンスコストという落とし穴
もうひとつ見落としがちなのが、メンテナンスコストです。
家は時間とともに劣化していきます。
特に安価な建材を使用した家は、外壁や屋根の塗り替え時期が早まったり、水回り設備の寿命が短くなったりすることも。
「安く建てたから余裕がある」と思っていたら、10年後には大きな出費が待っている、という話は珍しくありません。
私たちが提案しているのは、初期費用と将来の維持費用をしっかり天秤にかけること。
建築費が抑えられた分、メンテナンスやリフォーム費用に余裕を持つ計画ができていれば良いのですが、多くの方が見落としがちなポイントです。
「価格」ではなく「価値」で選ぶ家づくりを
もちろん、すべての人にとって700万円台の家が悪い選択肢というわけではありません。
例えばセカンドハウスや別荘として、あるいはミニマルな暮らしを楽しむ方にとっては魅力的な選択肢になり得ます。
ただ、「家族が長く安心して暮らす家」として考えるなら、もう一歩踏み込んで考えるべきだと思うのです。
「価格」だけに目を奪われず、「その価格でどんな暮らしが手に入るのか?」をしっかり見つめ直すこと。
それが後悔しない家づくりの第一歩です。
住宅は今だけではなく、何十年も経ったあとどれだけの費用や問題があるかを考えておくことをおススメします。
まとめ:立ち止まって考えることが、いい家づくりのはじまり
700万円台という価格帯は、たしかに魅力的です。
しかしその価格の裏側には、たくさんの工夫と、たくさんの割り切りが潜んでいます。
家づくりは、一生に一度の大きな買い物。
だからこそ、広告の数字だけでなく、自分たちの暮らしにとって何が本当に必要なのかをじっくり考えてほしいと思います。
記事にも書きましたが、700万円台の家づくり自体が悪いわけではありません。
ただ、向き不向きがとてもしっかりとしている商品なので、しっかりと考えることがとても重要になります。
「何を重視するのか?」
「どんな暮らしをしたいのか?」
その答えを探す時間こそが、家づくりの醍醐味です。
それを忘れないようにしたいですね^^
今回はここまで。
では、また!