
地盤調査の不備がもたらす重大なリスク 〜しっかりやることが未来の安心につながる〜
家を建てるとき、多くの人は間取りやデザイン、設備に注目しがちです。
しかし、もっと根本的に大切なことがあります。それが「地盤調査」です。
先日お引き渡しをしたお客様から、ある情報を頂けました。
ある分譲地での話なのですが、とあるメーカーが建てた家の地盤調査が甘かったらしく、今その対応に追われているとのことでした。
対応に追われているとさらっと言いましたが、対応してくれると言ったとしても、その工事は大掛かりな工事となり、その間は人が住めないなんてことにもなりかねません。
このように、地盤調査をしっかり行わないと、家が傾く、ひび割れが生じる、最悪の場合には家が住めなくなるといったトラブルが発生する可能性があります。
「うちは大丈夫だろう」と油断して地盤調査を軽視すると、後々とんでもない事態を招くことになりかねません。
今回は、地盤調査の重要性と、しっかりやらなかったときのリスクについて解説していきます。
1. そもそも地盤調査とは?
地盤調査とは、家を建てる土地の強度や安定性を確認するための調査のことです。
どんなに頑丈な家を建てても、地盤が弱ければ意味がありません。
家が沈下したり、傾いたりするのを防ぐために、まずは地盤の状態を正しく把握する必要があります。
現在では、保証の関係もあり、ほぼ全棟の家が行っているので、ある程度の安心はしてもいいと思います。
主に以下のような調査方法があります。
- スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験):住宅用の地盤調査で最も一般的な方法。ロッド(鉄の棒)を回転させながら地中に貫入し、地盤の硬さを測定する。
- ボーリング調査:大規模な建築に用いられることが多い。地中を深く掘り、地質を詳しく分析する。
- 平板載荷試験:実際に荷重をかけて地盤の沈下量を測る方法。
この中で、個人住宅だとほぼほぼSWS試験がメインになり、しっかりと行えばある程度正確な情報が手に入ります。
この他の調査は住宅ではまずやらないので、気にする必要はありませんが、大規模な建物を建てたい場合にはこういった方法も検討していきます。
これらの調査結果をもとに、必要であれば地盤改良を行うことで、安全な住まいの土台を作ることができます。
2. 地盤調査をしっかりやらなかった場合のリスク
『この土地は元々山だったから、地盤は良い』『元々家が建っていて方向きも無かったから安心だ』
そんな理由を元に、「地盤調査なんて適当にやればいい」と思っている方、要注意です。
調査を怠った場合、以下のような深刻なリスクが発生する可能性があります。
① 家が傾く(不同沈下)
地盤が均一でない場合、家が部分的に沈んでしまい、傾いてしまうことがあります。これを「不同沈下(ふどうちんか)」と言います。
不同沈下が起こると、以下のような問題が発生します。
- 家の床や柱が傾く。
- 壁に大きなひび割れが入る。
- 窓やドアが正常に開閉できなくなる。
- 住宅全体の耐震性が低下する。
最悪の場合、修復不可能になり、家を建て直すしかなくなることもあります。
② 地震で倒壊しやすくなる
地震が発生した際、地盤がしっかりしていないと、揺れの影響を受けやすくなります。
特に「液状化現象」が起こると、建物が傾いたり沈んだりしてしまいます。
液状化が起こりやすい地盤の特徴:
- 砂質の地盤である。
- 地下水位が高い。
- 埋立地や川の近くの土地。
こうしたリスクを回避するためにも、事前の地盤調査と必要な地盤改良が不可欠です。
③ 修復コストが莫大になる
「もし問題が起きたらその時に対策すればいい」と思うかもしれませんが、それでは遅すぎます。
- 不同沈下を直すためには、「アンダーピニング工法(建物の下に杭を打ち込む方法)」が必要になり、費用は数百万円単位になることも。
- 地盤改良工事を後からやると、建築前よりも2倍以上のコストがかかることもある。
- 住宅が損傷すれば、保険の適用が難しく、自費で修繕費用を負担しなければならないケースも。
最初の段階でしっかりと調査し、適切な対策を講じることで、こうした余計なコストを防ぐことができます。
3. 地盤調査をしっかり行うためのポイント
では、どのようにして地盤調査を適切に行うべきなのでしょうか?
1, 信頼できる調査会社を選ぶ
地盤調査を適当に済ませる業者も少なくありません。
「費用を安く抑えたい」という考えで手抜きをする業者に依頼すると、後々大きな問題になる可能性があります。
必ず信頼できる調査会社に依頼しましょう。
明工建設では、費用は少しだけ高いですが、安心のために全国規模で調査を行っている会社に依頼しています。
全国規模と言っても、静岡には専用の支店があり、地域の特性も理解しているので、安心した結果が期待出来ます。
2、建築予定地の地盤リスクを把握する
- 過去に地盤改良を行った履歴があるか?
- 近隣の建物で不同沈下の事例はないか?
- 埋立地や軟弱地盤ではないか?
これらを事前に調べることで、リスクを軽減できます。
これらのリスク回避も、静岡に支店がある調査会社に依頼している理由の一つです。
こういった情報は地元でなければ分からないので、静岡に支店があることは大きなメリットだと言えます。
しかし、ただ単に金額が安い分そういった調査もしない会社もありますので、注意が必要です。
3、 必要ならば地盤改良を行う
地盤調査の結果、地盤が弱いと判明した場合は、以下のような地盤改良を行う必要があります。
- 表層改良工法:地表の土に固化材を混ぜて強度を上げる。
- 柱状改良工法:セメントを使い、柱状の杭を地中に作る。
- 鋼管杭工法:鋼の杭を地盤まで打ち込み、建物を支える。
- 砕石パイル工法:砕石を支柱のように埋め込むことで強度をあげる。
これらの対策をすることで、長く安心して住める家を手に入れることができます。
ただ、これらも値段の上下があるので、ただ単に安いものでやるといった判断は危険です。
その土地にあった最適な工法で行うことが重要です。
そしてこれらの改良工事を行なえば、多くの会社が地盤の保証をしてくれますので、もし万が一問題が起きたとしても、保証で直すことが出来ますので安心の材料の一つとなります。
まとめ
家を建てるとき、デザインや間取りだけでなく、「地盤」という根本的な部分をおろそかにしてはいけません。
しっかり地盤調査を行い、必要な改良を施すことで、不同沈下や地震リスクを回避し、長く快適に暮らせる家を実現できます。
「うちは大丈夫だろう」と油断せず、適切な地盤調査を行うことが、家づくり成功のカギです。
後で後悔しないためにも、最初の段階でしっかり地盤の状態を確認し、安全な家づくりを進めましょう。
そしてこういったことを大事に考えている会社で、建築することを個人的に強くおススメします!
今回は、ここまで。
では、また!