■結論、恐れなくて大丈夫
昨日に引き続き、住宅ローンアドバイザーとしての仕事です。
先日、日銀の発表で政策金利を現在の0.25%程度から0.5%程度に引き上げるとの発表がありました。
この動きを見て、各金融機関が預金の金利の引き上げを行なったりとの対応を始めています。
また、これから行われるのが住宅ローンの金利調整です。
前回に日銀が金利を0.25%に引き上げた際は、各金融機関の変動金利型のローンの金利が上昇し、大体0.1~0.2%の間で上昇をしました。
自分の知っている金融機関で、ここ静岡で現実的に借りられる金融機関では、変動金利が大体0.4~0.6%だったのが、0.5~0.8%に上がりました。
ですので、今回もまた変動金利が上昇することが見込まれます。
その上げ幅は各金融機関によるでしょうが、前回と同じなら0.1~0.2%の上昇となるか、もしかしたらもう少しの上昇も考えられるかと思います。
さて、こうなると『金利上昇前に急いで買わなきゃ!』勢が、あおって営業をしてきます。
それに乗せられて家を買う・・・・
なんてことが無いように、ここで少しだけ勉強をしていってもらいたいと思います。
ちなみに先に結論を言うと・・・
『恐れなくて大丈夫』です。
■単刀直入に、いくら支払いが増えるの?
勉強を・・・何て言いましたが、皆さんが気になるのは、実際にいくらローンが増えるのか?ですよね^^;
なので、まずはそれを先にお知らせします。
ここ御前崎から掛川、磐田袋井、島田焼津などと言った、静岡の中部から西部に掛けての平均的な住宅の価格は、2000万円~3000万円です。
当然もっと高い住宅もあるし、もっと安い住宅もあるので、あくまでも平均値です、しかも1000万円もぶれがある意味があるのか?っと思えるくらいの平均的な価格を例に出します。
また、2000~3000だと計算が出来ないので、とりあえず2500万円程度が住宅の価格とします。
これに土地が無い人は土地代を、さらには諸経費と言われる住宅を買う際に、住宅以外に掛かるお金を算出します。
土地代金は田舎の御前崎と、都会の方を比べるとこの金額差も凄いことになりますので、これも平均値を取ります。
これは統計を見たわけではなく、あくまでも個人的な感覚ですが、1200万円とします。
さらに、諸経費ですが、これも各会社によっても異なるし、買った土地などにもよるので、一概に言えない数字ですが、これも個人的な感覚で、300万円とします。
ですので、一般的な住宅を土地から購入し建てた場合、ここ静岡の中西部では、大体4000万円程度の費用が掛かると言うことにします。
当然、もっと掛かる人もいるし、もっと少ない人もいるので、ここでの平均値として勝手に定めます
次に自己資金を想定します。
今では全額をローンで組むことも出来ますが、それでもある程度は現金が必要です。
特に注文住宅で1から建てる場合は余計に必要となります。
とは言っても昔みたいに総額の2割、つまり今回だと800万円を用意しろとは言わず、とりあえず100万円の用意をお願いしたとします。
つまり、ローンの借り入れは3900万円と言うことになります。
ちょっと前提が長くなってしまいましたが、これはとても重要なことなので、長々と書きました。
その理由は後で説明します。
■3900万円を35年で支払う場合
ここからローンの計算に入ります。
最近の多くの住宅ローンが35年で組まれているので、今回はその期間に合わせます。
つまり、ここからは3900万円を35年間で支払う計算になります。
ケース1 金利が0.6%だった場合
ますが最初に現在の平均的な変動金利の場合で計算します。
毎月の返済額
10万2971円
35年での返済総額
4324万7711円
となります。
これは0.6%が35年続いたらと言った計算なので、実際には金利変動によって変わる金額であることも合わせて伝えておきます。
ケース2 金利が0.8%だった場合
次に現在の平均から、今回の金利上昇を0.2%と仮定して0.8%になったとして計算します。
毎月の返済額
10万6493円
35年での返済総額
4472万7197円
となります。
これも返済期間中ずっと同じ金利だと仮定した結果です。
結果をみてどう思ったでしょうか?
■恐れる必要は無い
まず毎月の返済額を比較してみましょう。
0.6%だった場合は、10万2971円で、0.8%だった場合は10万6493円です。
毎月大体3000円程度の費用増です。
そして返済総額を比べます。
0.6%は4324万7711円、0.8は4472万7197円。
35年間での返済増は150万円弱となります。
個人的な感覚では、毎月の増額はまあまあそんなものなら・・・・って感じです。
ただ総額でみると150万円の増か・・・多いなーって感じました。
個人差はあると思いますが、多分この位の価格の家を買う人なら大体同じ感覚ではないでしょうか?
確かに150万円の増額は痛いですが、月にすると3000円です。
150万円を一気に払えと言われたらきついですが、毎月3000円ならまあまあって思える数字ではないでしょうか?
それは当然金利が安くて支払いが少ないのが一番ですが、そんなことは個人では決められないことですので言っても無駄です。
あとはその上がったものに自分が対応できるのか?
そこをしっかりと見て欲しいと思います。
そして、そういった見方で見ると、これは個人の見解ですが、今回の金利上昇は『恐れる必要は無し』です。
■不安をあおる営業にはお気を付けください
さて、話は変わります。
こういったネタが出ると、途端にその不安をあおるやからが出てきます。
『金利が上がる前に、家を建てた方が良いですよ~ じゃないと将来大損しますよ~』
的なやつです。
はっきり言いますが、これ嘘なので、騙されないでくださいね^^;
確か不安をあおる営業の言うように、に金利が安い時に買った方が特に思えます。
しかし、ちょっと考えたら分かることです。
今回上昇するのは変動金利型のローンです。
今は安いかもしれないけれど、将来を考えたら、今回の金利上昇分は絶対に金利上がるんです^^;
だから、金利が安い今建てたって、すぐに金利はあがるので、ほとんど意味がありません。
まあ、その営業のトークに乗って2、3ヶ月購入が早まれば、その間くらいのお得はあります。
先ほどの計算だと1か月で3000円程度なので、3000~6000円程度の得ですね・・・・
たった、これだけの得のために、一生に一回の選択を急がせるって・・・・
本当にやからと言われてもしょうがない人達だと思います。
いやいや、私は全期間固定で借りるから、金利が上昇する前が大正解なのです!
って言う人もいるかもしれませんが、今回の上がる政策金利で上昇するのは変動金利です。
全期間固定金利については、今回の件は関係ありません。
長い目で見たら関係するのですが、今回のように直接作用することがないのです。
だから、これも焦る必要はありません。
とは言っても、長期金利の指標である長期プライムレートと言う指標も、ここ数年上がり続けています。
令和元年を底に、年々上がってきており、今は令和元年に比べ、倍の数字になっています。
とは言っても、底値の時が異常で、現状が過去30年を振りかえっても普通な数字です。
なので、今回の金利上昇で焦る必要はありませんが、固定金利も上昇傾向にあることを理解したうえでの計画をしていくと良いと思います。
■他の記事に踊らされないで
最後にお話しするのが、他の記事の取り扱いについてです。
今回の記事を書くにあたり、いくつかの記事を見ましたが、まあ中々に悪意がある記事が多かったです。
特に今回の件で、不安をあおりたい人達が書いた記事は中々にすごいものでした。
どの記事とは言いませんが、今回の政策金利が上がった影響で支払いが350万円も増える!って記事もありました^^;
先ほど計算したように、私のシミュレーションだと総額で150万円くらいの上昇で、これでも多いかなって思いますが、更にその倍以上の350万円も上がるといった記事があったのです。
しかもこの350万円だけを取り上げ、そんなに上がったら家なんて建てられないし、返済何て出来るわけない!
なんて記事でした。
この記事の怖いところは350万円が誰にでも適応され、誰もが350万円も支出が増えると勘違いさせることです。
私の計算では3900万円を35年で借りると、月で3000円、35年で150万円の増だと言いました。
では、この350万円の人の根拠はどこにあるんだろうと、探してみると記事の中ではさらっとしか言っていませんでした。
記事の内容だと『一般的な8000万円の家を買った人』とだけ書いてありましたが、その根拠は全くなし。
しかも一般的な8000万円の家って、どこの高級マンションでしょうか???
もしくはどこの大豪邸でしょうか???
先ほど言ったように、ここ静岡での大体の平均は4000万円前後。
この数字は他県に行けば変わると思いますが、日本の平均年収である450万円程度の年収の人とすると、丁度良いくらいの予算が4000万円なので、静岡が極端に安いのではなく、8000万円がイレギュラーです。
また、どのように借りたら、8000万円の借入で総額が350万円増えるか、逆算して計算してみました。
その結果は・・・
8000万円を40年掛けて、金利0.6%で借りた場合と金利0.8%で借りた場合にちょうど350万円の差となりました。
なので、多少は違うと思いますが、このような結果だけを伝えていると思います。
ちなみに、この際の毎月の支払いを比べてみると、0.6%の人は毎月約18.7万円の支払いに、0.8%の人は約19.4万円の支払いとなります。
毎月の差は、私のシミュレーションよりもはるかに多く、毎月7千円以上の価格さとなっています。
ざっくりとした計算ですが、この毎月約7千円が40年積み重なると350万円になると言った計算です。
さて、ここで話を戻すと、こんなに差が出たら、もう家は買えない!返済も出来ない!なんて言っていましたが、考えてもみてください。
毎月約19万円を住宅ローンで払える人が、月に7千円上がったくらいで、そんなにヒステリーを起こすと思いますか?
これも余談ですが、ローンを借りる際には、年収の1/3以上のお金を借すことを金融機関は嫌がるので、一般的に年収の1/3以下の借り入れとなります。
なので、毎月19万円のローンを借りられた人の年収は最低でも760万円以上あることとなります。
ちなみにこれも計算で出るのですが、その方々の手取りの額は毎月約50万円と言われています。
また、返済比率ぎりぎりで借りることはあまりしないので、多分ですが年収も毎月の手取りももっと多いです。
そんな人達が月々7千円上がったくらいで、ヒステリーを起こすのか?
まあ、ここまで言えば分かると思うのですが、完全に誘導記事なんです。
金利が上がったら困るよね!不安だよね!そんな気持ちを増長する記事です。
なんでそんな記事を書くのかは分かりませんが、きっとそうすると得があるからしているのでしょう。
最初の前提をあそこまでしっかりと書いた理由はここにあります。
こういったある意味フェイクニュースに惑わされないようにして欲しかったので、わざとあんなに長く書いていきました。
しかし、ここまで読んでくれた人なら分かる通りに、前提って本当に大事で、それが無いだけで、こんなにも嘘を真実のようにすることが出来てしまうのです。
■まとめ
さて、話はそういった記事に踊らされて、今にも大変なことになるなんて気持ちはまずは抑えましょう^^
ただ、事実として支払いは増えます。
その増えた支払いをしっかりと受け止め、それでも家を建てれるよねって事実の確認をしていってもらいたいと思います。
お金の件は恐れる前に不安になる前に、まずは相談です。
その際にはぜひお声がけくださいね^^
今回は以上。
では、また!