今回は、家づくりにおいて不可欠な「光熱費の節約」を目的とした初期投資を見ていきます。※本連載では、オーガニックで豊かな暮らしの家づくり推進協議会・会長で、明工建設株式会社の代表取締役・仁藤 衛氏の著書、『知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本』(知道出版)の中から一部を抜粋し、家づくりに潜む「7つの落とし穴」を明らかにし、それらを回避するためのポイントを解説します。
光熱費も「ランニングコスト」のひとつ
じつは光熱費も、家のつくり方次第で、後々かかってくる金額が変わる「ランニングコスト」のひとつです。
最近の「高気密高断熱の家」などに代表される「省エネルギー住宅」などは、毎月の電気代・ガス代などの光熱費がとても少なくて済みます。さらに、太陽光発電などと上手に組み合わせれば、ほとんどエネルギーコストがかからない家ができたりするのです。
ここで、毎月の光熱費が、「2万円かかる普通の家」と「1万円で済む高性能な家」で比較してみましょう。わずか1万円ですが、それが40年間ともなると、2万円の光熱費だと総額960万円、1万円の光熱費では総額480万円です。
当たり前ですが、その差は2倍。この差480万円を、今の金利で逆算して初期コストに換算すると、およそ300万円になります。つまり、毎月1万円の光熱費が節約できるなら、初期費用が300万円余計にかかったとしても、40年間の総支払額で見ると、だいたい同じくらいになるということです。
光熱費をたくさん払わなくてはならない家は、つくり方を間違っていると言ってもいいくらいです。家をつくって損をする人にならないように、トータルコストの意識を持ちましょう。
生活に不可欠な光熱費…社会情勢によっては価格上昇も
なぜ、光熱費が大切なのでしょうか?
家のローンは、年数がくれば払い終わるものです。働いている期間を想定し、退職金なども考慮したうえで、返済金額、返済年数などを設定するので、終わりの見えているお金です。
ところが光熱費は、退職した後も生活をするために必要な経費です。その家に住み続ける限り、死ぬまで永遠に払い続けなければならない一生のコスト(私はこれを“生涯ローン”とお伝えしています)なわけです。しかも、誰も自分の死がいつ訪れるかはわかりません。トータルでどのくらいになるのか、誰も予想のつかないお金でもあるのです。
そして、光熱費が上がるリスクはいろいろあります。すでに、原発の廃炉費用負担が課せられ、電気代などは上がっていますが、インフレになれば、物価が上がると同時に光熱費も上がります。消費税が上がれば、もちろんその分が上乗せされます。円安になれば、輸入エネルギーが上がります。