家づくりの際に、見た目の豪華さや流行にとらわれ、住み心地を二の次にしてしまう人は少なくありません。本連載では、オーガニックで豊かな暮らしの家づくり推進協議会・会長で、明工建設株式会社の代表取締役・仁藤 衛氏の著書、『知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本』(知道出版)の中から一部を抜粋し、家づくりに潜む「7つの落とし穴」を明らかにし、それらを回避するためのポイントを解説します。
見積もりは「目に見えない部分」こそ重要
まず、みなさんが陥りやすい落とし穴の最初にお伝えしたいのは、見積もりをどのように読み取るかというお話です。
見積もりを見る場合、合計金額の安いか高いかではなく、目に見えない部分こそが重要であり、よく確認する必要があるということです。
私がお客さまからご相談を受けたとき、正直な話、
「予算はいくらまでですか?」
と単刀直入に聞いてしまいます。
極端な話ですが、安さ勝負であれば、建築基準法ギリギリで、とにかく安い建材を使って建てることも可能です。コスト削減のノウハウはどこも持っていると思います。
「でも、それで良いのですか?」ということです。
たとえば、同じ建坪の見積もりで、2000万円の家と2500万円の家があったとします。その金額の差が、大手のハウスメーカーということで、さまざまな経費が乗っかっているので、500万円ほど高くなっているという理由なのであれば、2000万円の家のほうが確実に良いでしょう。実際の原価、要は建材などの品質はほぼ同じだと思われるからです。
ところが、この差が、3倍長持ちする家かどうかの差だとしたら、2500万円を支払ってでも高いほうの家にするべきだと思います。機密性、断熱材の有無、メンテナンスフリーの建材といった、家をより良くさせるもので値段が上がっているケースがあります。二つ目の落とし穴のところでお話をしますが、このような家を建てることは、長い目で見ると家の寿命や維持費が安くなるので、結局はおトクになるからです。
見積もりに「何が含まれているのか」を確認
見積もりにおける基本的なお話をすると、住宅の面積の表現だけでも、施工面積、延べ床面積、建築面積の3種類があります。坪単価が安くなるので、施工面積で値段を出す会社もけっこうあります。ところが、施工面積になると、玄関の外のポーチの先端までだったり、ウッドデッキだったり、そういう部分も含まれるので、トータルすると随分面積が大きくなってくるのです。
じつは、法律ではどの単位で表現するかは定められていないので、坪単価いくらという説明を受けた場合、どの面積で割り出しているのかはきちんと確認しなければなりません。
また、どの工事以降が別途工事になるのかということも、よく見てください。
照明器具は? カーテンレールは? 浄化槽工事は別ですよ、といったことです。細かい話ですが、どれも実際に生活をするためには必要なものですから、どこまでが最初の見積もりに含まれているのかは、気をつけてチェックするべきです。
すぐに住み始められるように、その家に合った家具や付帯設備などは用意しておいて、必要であれば付けてくれる。「自分で決めたいのでいらない」という人であれば、その分の金額は引いてくれるというように、臨機応変に対応してくれる住宅会社は気が利いているなと思います。
モデルハウスなどを見て、素敵なインテリアがセッティングされていて、「こんな生活が始まるんだ」とワクワクしていても、いざ購入の段階になると、すべて取り払われてガラーンとなり、イメージが違うことはよくあります。希望すれば、それがそのまま手に入るほうが親切ですよね。