■『断熱性』という言葉が独り歩きしています
住宅の『断熱性』を気にされて、住宅建築をされていますか?
だったら当社の建物は全棟G3をクリアーして、お渡ししております。
他社では出来ませんよ!あったかい当社で家を建てましょう!!!
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上記は当社ではなく、他社様の展示場で聞いたセリフです。
ちなみにG3とは、Heat20と言った指針の元にあるグレードの一つで、
他も入れると、G1~G3とあり、数値が良くなると断熱性性能がが良いとした、
指標の一つです。
つまり、上記の会社さんは・・・
『断熱性能が最高の家を全棟クリアーして売っています。
それはほかの会社では出来ませんよ!』
って謳い文句で訴えていたんですね。
さて、突然ですが、このセリフ本当に正しいのでしょうか・・・?
■断熱性のが良いと暖かい?
まず他社さんが言っていたように、断熱性が良いと暖かいのでしょうか?
答えは△。
断熱性をよくした。ただそれだけでは暖かくなりません、、、、
家を暖かくするには、家を暖かくするための熱源(エアコンなど)が必ず必要です。
熱源を使わずに暖かくなる家は絶対にありません。
断熱性の高い家は、例えて言うならポットなどに利用されている魔法瓶みたいなもの。
一度温めたお湯を長い時間保温するように、家の空気を長い時間暖めておける。
そうすれば、一度暖めたら中々冷えないので、その分光熱費が安くなる家になる。
それが断熱性の高い家という定義です。
決して、断熱性が高いからと言ってそれだけでは暖かい家ではないことを
理解しておきましょう。
■全員が最高グレードを必要であるとは言えない
次に覚えておかなくてはいけないことは、全員がG3グレードを必要であるとは
限らないということです。
断熱性が良ければ、その分冷暖房費が少なく済むと思われがちですが、
今の家の標準的な定義での性能を考えると、元々性能は低くはありません。
(*世界の標準と比べると低いぞ!なんて声が聞こえても来ますが、その国の気候や
暖房に関する考えを無視した状況で、話をするのはちょっと違うのかなと個人的には思います。)
となると、グレードを上げていったとしても、実際に暖房を使用した際には
元来の基準とそう大きな差が出てこないことも考えられます。
特に、ここ御前崎のような温暖なエリアだと、より差を感じることが出来ないかもしれません。
将来は全ての家が高性能になる・・・かもしれませんが、
それが自分の家に必要で、そのために係る費用などを考慮した結果
施工が可能であればした方が良いし、不必要となればする必要はないかもしれません。
こういった考えをせずに、お客様の意見を無視し、自社だけの意見を押し付けるような会社もあったりします。
折角なら、住宅を建てる前に、一度はしっかりと考えてみた方がいいですね。
■他社との差別化に使われている
住宅業界は2000年初頭には、年間に100万戸以上が建てられていました。
しかし、少子化や住宅の多様化、価値観の変化など色々な事情がかさなり
現状は80万戸程度の着工数、つまり2割程度減少している業界になります。
また、今後も縮小が見込まれており、20年後には40万戸程度になると言った見方まであります。
そんな業界ですので、生き残りに各社必死の状況です。
その生き残りの差別化の材料として、断熱性が使われているケースが多々あります。
暖かい、涼しいは本能的に分かりやすい差別化ですから・・・・
ちなみに断熱性は一定の基準よりも良くしようとすると、大きなお金がかかります。
それを当社だと安く出来るとは、他社では出来ないとかと言って、差別化の材料にしているってことです。
この考えも結局はお客様を無視した考えにとなり、いらない費用増や会社の利益のための家づくりを助長させます。
■まとめ
今回は断熱に関しての話をさせて頂きました。
この話のネタになった話は、今お話をさせて頂いているお客様にあります。
たまたま今お話をさせて頂いているお客様がとても勉強されている方で、
色々な質問や疑問を投げかけてくれて、本当に嬉しく思っています。
こんなにも理解してくれていれ、さらに理解しようとしれくれている。
こんなお客様とお話が出来る幸せな時間を過ごさせて頂いております。
そんな中、こういったお客様に自分の勉強不足や会社の都合で、
間違った伝え方をしている会社が多いことを思い出し、記事にしてみました。
当然、私の考えが全て正しいわけではなく、お客様それぞれに正解のある話ですので
色々な意見や話を聞いて、自分なりの答えを見つけてみてください。
その際に、私共が助けになれば幸いです。
ちなみに高断熱の家を掛川で公開中です。
そちらもぜひご覧ください!