外観デザインにも大きく影響する
住宅建材のひとつです。
分類方法はいくつかありますが、
一般的な戸建住宅で用いられる屋根材で考えると、
粘土系、セメント系、スレート系、金属系の
4種類です。
粘土系には釉系と無釉系、
セメント系はプレスセメント瓦とコンクリート瓦、
スレート系には、セメント系である化粧(彩色)
スレートと天然スレート、
金属系には鋼板などがあります。
各メーカーからは、
それぞれの素材の良さを生かしつつ、
独自の工夫を施し、耐候性や耐久性、
耐震性、デザイン性を高めた
数多くの商品が提案されています。
選ぶ際には、一般的な素材の
メリット・デメリットを理解した上で、
それぞれの商品特性、特徴を
確認することが大切です。
◆粘土系(瓦):釉系と無釉系があり
耐久性や断熱性に優れる
通常、瓦(かわら)と言った場合は、
この粘土系(瓦)を指します。
粘土を主原料として混練、成形、焼成したものです。
釉系と無釉系があり、耐久性や耐熱性、
断熱性に優れる屋根材でしょう。
形状、デザインによって
和瓦と洋瓦と分けることもあります。
一般的に、粘土瓦は、他の屋根材に比べて
重量が重いので、
構造など耐震性への適した配慮が必要ですが、
重さがあるため遮音性が高く、
雨音も気にならないのがメリットです。
最近では、軽量化を実現した製品、
ズレや脱落などがしにくい防災瓦などもみられます。
●釉系
プレス成形した瓦形の素地に
釉薬(ゆうやく)を施した瓦で、
さまざまな色を出せるのが魅力です。
釉薬瓦、塩焼瓦などがあります。
表面の釉薬によって水が浸透しにくく、
耐久性に優れ、退色や変色もないので、
基本的にメンテナンス不要です。
和瓦の形や平形、S形などの製品も豊富で、
和風洋風を問わず、
さまざまな外観デザインの建物に
使用することができるでしょう。
●無釉系
無釉は表面に釉薬をかけないものです。
いぶし瓦や無釉瓦などがあります。
粘土をプレスし、
釉薬をかけず焼成過程でいぶし、
表面に銀色の炭素膜をつけたいぶし瓦は、
和風の住まいに適しています。
無釉瓦は、ナチュラルな風合いが特徴で、
素地がそのままの素焼瓦(スペイン瓦、琉球瓦など)
粘土以外の物質(金属など)を練り込んだ練込瓦、
ムラのある濃淡が魅力の窯変瓦もあります。
◆セメント系(瓦):施工性が高いのが特徴。
製造方法で異なる
セメントと砂を原料とした瓦です。
樹脂塗料で塗装を施したもので、
施工性が高いのが特徴でしょう。
製造の方法によって分類することができます。
●プレスセメント瓦
セメントと細骨材(砂)のモルタルが原料の瓦で、
厚形スレートとも呼ばれます。
無塗装品と塗装品があり、釉薬で表面処理を施し、
耐火性能を高めたものが、
施釉(せゆう)セメント瓦です。
和型、平型、S形など形状もさまざまです。
スレート系より材料が厚く、
どっしりとした印象が魅力ですが、
最近では軽量化も図られています。
●コンクリート瓦
プレスセメント瓦より
細骨材に対するセメントの割合が少ないものです。
立体感のある形状が多いので洋風住宅向いています。
◆スレート系:セメント系の化粧スレートと
天然スレートがある
スレートとは、粘板岩などの薄板のことです。
屋根材としては、
セメント系の彩色スレートと
天然スレートがあります。
●化粧(彩色)スレート
セメントに繊維を混入して強化した
薄い板状の素材です。
天然スレートに模していることから
この名称になりました。
(カラーベスト、コロニアルという
商品の名称で呼ばれることもあります)
軽量で施工しやすいのが特徴で、
表面の塗装に工夫を施しより
耐久性や耐候性を高めたもの、
遮熱タイプ、表面に凹凸感を持たせ
自然石の素材感を表現したものなどもみられます。
色やデザインも豊富なことから
普及している素材ですが、
価格は、素材の厚みやデザインなど
で大きく異なります。
●天然スレート
玄昌石などを材料にした本来のスレートです。
退色しない、
黒く艶のある自然の色や素材感が魅力です。
重量のある高価な素材です。
◆金属系:軽量で加工しやすいのが特徴
加工しやすく軽量、施工性も高いことが特徴で、
複雑な屋根形状にも対応できます。
鋼板と非金属系に分けることができます。
鋼板には、めっきや塗覆装を施したものもあります。
カラーバリエーション豊富ですが、
熱伝導率が高く断熱性が悪いことや
遮音性が低いため雨音が気になることもsります。
最近では、瓦のような形状のもの、
断熱材を裏打ちし断熱性や遮音性を高めた
製品もでています。
既存の屋根の上から重ねて葺くことができる
リフォーム向けの商品もみられます。
●鋼板
平葺きタイプや金属成形瓦など、
機能、デザインともに工夫された
製品が出てきています。
軽量で地震に強く、
水分を吸収しないのが特徴です。
最近多く利用されるのが、
ガルバリウム鋼板です。
アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板のことで、
サビに強く耐久性、耐熱性があります。
表面に、ポリエステル樹脂や
フッ素樹脂の塗膜などを施した、
遮熱性を高めた製品、サビや紫外線、
酸性雨に強いタイプなどもあります。
最近では、天然石のチップなどを
コーティングするなどして
耐久性とデザイン性を高めたタイプもみられます。
●非鉄金属
アルミ合金板や銅板などの屋根材です。
銅板は昔から使われている素材です。
●まとめ
さまざまな種類がある屋根材を選ぶ際には、
できる限り、カタログや小さなサンプルではなく、
実物をチェックすることが大切です。
最近では、比較的大きな実物サンプルが
用意されているショールームもあります。
また、モデルハウスで用いられている素材を
参考にしてもいいでしょう。
それでは、また。