【長期優良住宅の普及の促進に関する法律】
に基づいて認定されるのが「長期優良住宅」です。
認定実績は新築一戸建てで多いが、
リフォームによって認定を受けることもできます。
より一層の普及を図ろうと、
住宅性能評価・表示協会が
パンフレットを作成しました。
特に、どんなメリットがあるかに注目して、
制度の概要についてお伝えします。
http://www.hyoukakyoukai.or.jp/download/pamphlet.html
◆「長期優良住宅」の認定は新築に加えリフォームも
新築住宅の長期優良住宅の認定は
2009年6月から始まっています。
既存の住宅のリフォームについては
2016年4月からとまだ歴史も浅く、
十分には浸透していません。
そこでさらなる普及を目指して、
[新築版] [増築・改築版]それぞれの
パンフレットが作成され、
インターネットで公開されております。
まず、長期優良住宅とは、
以下の措置が講じられているのが基本です。
・長期に使用するための構造及び設備を有していること
・居住環境等への配慮を行っていること
・一定面積以上の住戸面積を有していること
・維持保全の期間、方法を定めていること
新築時やリフォーム後の性能を求める制度は多いが、
それ以降の維持保全についてまで言及している点が、
長期優良住宅の大きな特徴です。
長期に使える住宅を作り、
定期的な点検や補修を行っていこう、
ということになります。
認定基準は、一戸建てかマンションか、
新築かリフォームかで少し異なりますが、
広範囲で高い性能を求めているので、
建築コストも高くなります。
その代わりに、税制や融資の面などで
優遇措置も用意されているのです。
◆長期優良住宅は、新築・リフォームでどんな優遇措置がある?
新築とリフォームそれぞれで、
どんな優遇措置があるか詳しく見ていきます。
①長期固定型住宅ローン【フラット35】の金利引き下げ等
・【フラット50】:
長期優良住宅だけが利用できる特典で、
返済期間を上限50年間まで設定できます
(ただし金利は高くなる)
・【フラット35】S:
良質な住宅の場合に金利を
一定期間0.3%引き下げるもので、
Bタイプは当初5年間が適用されるのに対して、
長期優良住宅ならAタイプの当初10年間の引き下げが適用される
以上は、長期優良住宅を取得する場合に組む
住宅ローンの優遇措置なので、
リフォームの場合はそれだけで
利用できるものではありません。
中古住宅を取得して
長期優良住宅化リフォームする場合
(住宅事業者が長期優良住宅化リフォームを
実施して販売する場合も含む)に利用できますが、
その場合は、次のローンも利用できます。
・【フラット35】リノベ:
中古住宅を取得して性能向上リフォームを行う
場合などで金利を一定期間0.6%引き下げるもので、
長期優良住宅ならAタイプの当初10年間の引き下げが適用される
②地震保険料の割引
長期優良住宅では、
認定基準の一つである耐震性
(リフォームは等級1以上、新築は等級2以上など)が
求められるので、耐震等級に応じた割引率が
適用されます。
③税金の優遇措置
税金の優遇措置は、新築とリフォームで異なります。
○新築
・住宅ローン減税の拡充:
住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に
適用される「住宅ローン減税」
(住宅ローン残高の1%を10年間控除)の控除対象限度額が
4000万円から5000万円に引き上げられます。
・所得税の特別控除:
住宅ローンを利用しない場合でも、
長期優良住宅であれば、
標準的な性能強化費用相当額(限度額650万円)の
10%がその年の所得税から控除される
※以上は2021年までに入居した場合に適用
・登録免許税(保存登記・移転登記):
税率引き下げ
・不動産取得税:控除額の増額
・固定資産税の減税措置の延長:
新築住宅の場合に固定資産税が
1/2に減額される措置の適用期間が、
通常の新築住宅より2年間延長され、
一戸建てで5年間、マンションで7年間になります
※以上は2018年3月までに入居した場合に適用
○リフォーム
2017年度の税制改正の特徴が、
長期優良住宅化リフォームの税の特例措置です。
※以下の税の特例措置は、2017年4月1日から適用
また、長期優良住宅化リフォームの認定基準は
一戸建てかマンションかで少し異なるが、
構造部分で共通するのは、
耐震性、省エネ性に加え、劣化対策や
維持管理・更新の容易性の性能です。
もともと、耐震と省エネには、
それぞれリフォームの税の特例措置が
設けられていたので、
それらの特例措置と組み合わせて
減税する構造となっています。
前提は、税の特例措置の対象となる
「耐震」や「省エネ」に加えて、
劣化対策と維持管理・更新の容易性の「耐久性」を
向上させるリフォームを行って、
長期優良住宅の認定を受けた場合で、
所得税と固定資産税の特例措置があります。
・所得税(ローンを利用した場合)
ローン残高の一定割合を5年間控除するもので、
省エネ+耐久性の工事(控除率2%)は
限度額250万円、その他の工事(控除率1%)と
合わせて1000万円まで、最大控除額62.5万円
・所得税(ローンを利用しない場合)
標準的な工事費用相当額の10%を
その年の所得税額から控除するもので、
耐震・省エネいずれか+耐久性の場合は限度額250万円、
耐震+省エネ+耐久性の場合は限度額500万円
※以上は2017年4月1日から2021年12月までに居住する場合に適用
・固定資産税
耐震・省エネのいずれかを行ったうえで
長期優良住宅化リフォームを行った場合に、
リフォームが終わった翌年分の固定資産税を
2/3減額できます。
※以上は2018年3月まで
(従来の耐震・省エネの固定資産税の減額措置の期限)に居住した場合
(4)補助金
新築の場合は「地域型住宅グリーン化事業(長寿命型)」
(補助対象経費の10%までで下上限100万円など)、
リフォームの場合は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」
(対象となる工事費用の1/3までで限度額200万円など)の
補助金を受けることが可能です。
お伝えしてきたように、
長期優良住宅を新築したり、
リフォームしたりした場合に、
さまざまな優遇措置が用意されています。
性能の高い住宅にするためのコストを軽減し、
普及させようというものです。
お得な部分だけに目を奪われるのではなく、
長く使用できる住宅を
きちんとメンテナンスして
住み継ぐという意識が重要です。
それでは、また!