
おかげさまです。
世間では「ベタ基礎は強い」「布基礎は古い」
──そんなイメージが根強くあります。
しかし、それはあくまで“イメージ”の話。
構造の世界では、むしろ 「布基礎の方が強い」と評価されるケースも多い のです。
今日はその理由を、一級建築士として、そして構造計算を熟知する立場から、明解にお伝えします。
🧠 そもそも構造計算でベタ基礎は不利になる?
ベタ基礎は、建物の下全体を鉄筋コンクリートで覆う工法です。
「面で支える」ため強そうに思えますが、構造計算の世界では“逆に難しくて不利”になることがあります。
📌【科学的な弱点①】地反力の扱いが難しい
構造計算では、基礎にかかる荷重だけでなく、
地盤からの押し返し=「地反力」も考慮します。
ベタ基礎は床全面で接地しているため、
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地反力の分布が複雑になり、荷重が不均等にかかりやすい
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全体で均等に耐えられないため、局所的にたわみや浮き上がりが発生しやすい
つまり、「一見強そうで、構造上は不安定な挙動をする」ことがあるのです。
📌【科学的な弱点②】耐力壁の配置で補強が必要
ベタ基礎は面全体が一体となるため、壁の配置に合わせてスラブや梁の補強が求められます。
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必要な位置に補強梁を追加する→構造計画が複雑化
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部分的な補強が必要→材料・施工費用も上がる
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補強不足のまま施工されることもある→構造リスク増大
📌【科学的な弱点③】“靱性”に乏しい
靱性(じんせい)とは、地震などの外力に対して「粘り強く変形しながら壊れにくい力」のこと。
ベタ基礎は広い面で支えるため、一度に大きな力を受けると、全体が一斉にひずむ傾向があります。
つまり、局所でエネルギーを逃す余地がない=“一発で壊れる”危険性があるのです。
🧱 布基礎の強さ=「構造力学的に理にかなった設計」
布基礎は、柱や壁など“力がかかる場所だけ”に鉄筋コンクリートを配置します。
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負担すべき荷重と反力が合致している
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構造計算上、合理的で分かりやすく設計できる
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地震時にも力が分散されやすく、粘り強さ=靱性が高い
「必要なところに、必要なだけの強さを」
まさに、構造設計の王道が布基礎なのです。
🌍 布基礎は“脱炭素”という未来への答えでもある
建設業界のキーワードのひとつが「脱炭素」。
実は、コンクリート(特にセメント)の製造は、全世界のCO₂排出の約8%を占めています。
ベタ基礎は床下全面にコンクリートを使うため、
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使用量が多い → CO₂排出が大きい
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鉄筋量も多く → 鉄鋼由来の環境負荷も高い
対して布基礎は、
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必要最小限の構造体 → 資材削減=脱炭素に貢献
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地球にやさしい家づくりができる
環境面から見ても、次世代住宅にふさわしい基礎なのです。
💬「でも、ベタ基礎の方が“安心”じゃないの?」
よくある誤解です。
実はベタ基礎を選んでいる工務店の中には、構造計算をしていない場合も少なくありません。
つまり「全面にコンクリート敷いておけば何とかなる」という “安心感だけ”で設計しているケースもある のです。
しかし明工建設では──
✅ ベタ基礎であっても、家ごとに構造計算を徹底
✅ どの基礎でも、構造のプロが一邸一邸判断
✅ 「見た目の安心」より「理屈の安心」
これが、私たちの家づくりです。
🏠 まとめ:「目に見えない強さ」が家を守る
基礎は、家を支える“地面との唯一の接点”。
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理にかなった布基礎は、構造的にも靱性的にも強い
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無駄のない合理的設計が、脱炭素という時代にも合致
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だから、私たちは「布基礎」を選び続けています
強さとは、量ではありません。
本当の強さは、「必要なところにだけ、最大限の力を発揮する」こと。
その強さを、あなたの家の足元に。
明工建設は、その答えを“構造”という理屈と、“感謝”という信念で導き出しています。
ご縁を大切に唯一無二の家造り
おかげさまでありがとうございます。