
持ち家 vs 賃貸 〜家は負債なのか?〜
この議論は長年にわたり続いており、結論が出ることはありません。
私自身、過去に何度もこのテーマについて書いてきましたが、その結論は常に一貫しています。
「家は負債である」
これが私の基本的な考えです。
しかし、今回は少し異なる視点を交えて、このテーマを深掘りしていきたいと思います。
■ 家は負債である
まず大前提として、「家は負債である」という事実をお伝えします。
持ち家派の人たちは、何とかして家を「負債ではない」と主張しがちですが、建築・販売に携わる立場から見ても、住宅はどう考えても「負債」です。
確かに、都心のマンションのように投資目的で価値が上がる物件も存在します。
しかし、郊外の一戸建て住宅に関しては、ほぼ間違いなく負債になります。
その理由は、日本の住宅市場の仕組みにあります。
新築住宅は、一度住んだだけで価値が大幅に下がります。
一般的には購入後すぐに30%ほど価値が落ちるとも言われています。
また、日本では「新築至上主義」の傾向が強く、中古住宅の市場価値は低くなりがちです。
このような状況では、よほどの例外を除き、家を資産とみなすことは難しく、「負債」として考えるのが自然なことになります。
■ 住宅購入は金融ゲームではない
さて、「家は負債」と言いましたが、実はこの考え方自体が誤解を生む原因にもなっています。
なぜなら、住宅購入は金融ゲームではないからです。
株や不動産投資のように、「安く買って高く売る」ことが資産価値の基本的な考え方ですが、住宅購入は根本的に異なります。
なぜなら、住宅は売却を前提に購入するものではなく、居住するために買うものだからです。
投資の世界では「資産を増やす」ことが目的になりますが、住宅購入の目的は「住むこと」にあります。
これを混同すると、家の価値を単純に「負債」として捉えてしまいがちです。
実は、この「住む」という前提を踏まえると、持ち家はむしろ割の良い投資であるとも考えられます。
■ 家賃を払っても資産が残らない
住宅購入の大半は住宅ローンを利用します。
ローンの期間は20年〜35年と長期にわたります。
ローンの返済は、賃貸の家賃と似たようなものです。
どちらも毎月決まった額を支払い、支払いを続けないと住むことができません。
しかし、最大の違いは支払い後に何が残るかです。
- 賃貸の人 → 20年、30年家賃を払い続けても、その家の所有権は自分のものにはならない。
- 持ち家の人 → ローンを払い終えれば、自分の資産として残る。
持ち家の最大のメリットは、ローン完済後に「住居費がゼロに近づく」という点です。
賃貸は生涯家賃を払い続けなければなりませんが、持ち家なら固定資産税やメンテナンス費用はかかるものの、家賃のように高額な支払いがなくなります。
■ 持ち家は未来の資産となる
確かに、持ち家には維持費がかかります。
しかし、それでも賃貸と比較すると、長期的には大きなメリットがあります。
さらに、持ち家は将来的に売却することも可能です。
日本の住宅市場では価格が下がることが多いですが、ゼロになるわけではありません。
売却という選択肢があるだけでも、賃貸とは大きく異なります。
■ でも負債となってしまうことも・・・
しかし、確実に資産であると思い込んではいけません。
人によっては負債になることも考えておかなければいけません。
今の流行りの言葉に『家じまい』って言葉があります。
住まなくなった実家などの片づけをどうするか・・・
そこも考えておかないと大きな問題となることも頭に入れておかなければいけません。
自分がいなくなった後のことは、後の人が考えればいい。
そんな時代ではなくなっていますからね^^;
■ どちらが良いかはライフプラン次第
結局のところ、持ち家と賃貸のどちらが良いかは、その人のライフスタイルや価値観によります。
- 転勤が多い人 → 賃貸の方が柔軟に対応できる。
- 老後の安心を求める人 → 持ち家の方が有利。
- 資産形成を考えている人 → うまく活用すれば持ち家の方が得。
- メンテナンスが面倒な人 → 賃貸の方が管理が楽。
「家は負債」と考えるのは短期的な視点では正しいですが、長期的に見ると「未来の資産」となり得ます。
持ち家を負債として捉えるか、資産として活用するかは、結局のところ「どう住むか」「どう活用するか」にかかっています。あなたのライフプランに合った選択をすることが最も重要なのです。
■まとめ
今回は住宅の価値観についてお話してきました。
ネットやTVなどでは、ある意味無責任で特だ!損だ!ってことを取り上げている状況です。
実際には、今回のように人や状況によって価値観ががらりと変わっていきます。
ですので、皆さんも誰かの言葉に流されるだけではなく、しっかりと自分の状況を考えて考えてみることをおススメします。
今回は、ここまで!
では、また!