■そんなに断熱してどうするの???
最近、他社の情報などを見ていると、皆それって本当のこと言っているの?
ってことが増えてきました。
例えば、断熱性。
これは性能が良ければ良いほど、外部の熱を建物の中に入れない家が出来ます。
本当は間違っているのですが、この性能が良いほど暖かい家になると言われています。
なので、今はこぞってこの性能をよくしようとしているのですが・・・・
もう一度言います。これは間違いです。
これは冬に服を着ることに似ています。
あなたは真冬の外で、寒いと思って上着を着ます。
そしてその上着で十分暖かくなったとします。
なのに、それ以上に上着を着ようと考えますか?
普通はしませんよね?
しかし、先ほどの理論で家を建てると、これとまったく同じことを言っていることになります。
上着は着れば着る程、暖かくなるので、際限なく着る方が良い・・・・
1枚よりも2枚、2枚よりも3枚だと・・・
確かに今以上に寒くなったら、この重ね着が役に立つかもしれません。
しかし、今の真冬の最低気温が突然5℃も10℃も下がることがあると思いますか?
多分ないですよね?
と言うことは、現状の気温で十分に暖かいのなら、それ以上はしなくても大丈夫なんです^^
でもこういったことを言うと、絶対にこういった反論が出ます。
『いやいや、それでも大丈夫かもしれないけれど、もっと断熱性を上げれば、より光熱費を抑えることが出来る。
だから際限なく、断熱性は高めるべきなんだ!そして、その方が価値が高い家なんだ!』と・・・・
理論で言えばそうかもしれません。
しかし、理論通りが正しいのかと言うと、それは違います。
■年間で5万なら100万円を取り返すには・・・
この記事では正確な数字は取り上げませんが、色々なサイトで断熱等級を上げたときの光熱費の差を出しているサイトがありますので、それらを参考にお話ししてみます。
断熱等級を上から3番目の5から、最高等級の7で30坪くらいのお宅を比較すると、年間に3万円程度電気代が安くなると言った結果が出ています。
これはサイトによって多少異なるので、大体こんな結果程度で見てください。
1年で3万円なので、10年で30万円、20年で60万円、30年で90万円の光熱費削減となります。
次に断熱等級を5から7にする費用です。
断熱等級5は上から3番目の性能ですが、この性能値で建てた家が最近は多いので、これを引き合いに使います。
この5にするためには、今までの断熱方法からちょっと足せばいいので、そんなに費用増はありません。
また、工法や使うものなども同じで良いので、施工に負担が掛かることもありません。
しかし7にする為には、根本から断熱の方法を変える必要があります。
材料も高額となり、工法なども変わるので工賃が掛かり、工期も掛かることから費用はかなり高額となり、色々なやり方や会社の方針で異なるでしょうが、5の性能の家と比べて100万円増額で出来たら安い方だと思います。
仮に100万円で出来たとしたら、年間に3万円の削減と考えると100万円の元を取るのに、大体30年程度掛かることになります。
まあ30年も掛かりますが、しっかりと元は取れるし、その間、高性能な家に住めるのだからいいことじゃん?
っとここまでならそう思われるかもしれません。
■等級5と7ではほとんど誤差程度の温度差しかない
では、これも違うサイトなどを検索してもらいたいのですが、断熱等級5と等級7の家の温度変化の差が書いてあるサイトが多くあります。
その際データを使用させてもらうと、断熱等級5の建物は暖房をしなくても室温が10℃以下にならない程度の家であり、等級が7になると無暖房でも15℃未満にはほとんどならないと書いてありました。
これは大変!5℃以上も差があります!
ほらやっぱり断熱等級は7にしないとね!・・・・
そうなりがちですが、よく見返してください。
等級7の家ですが、逆を言えば15℃になる家でもあると読み取れます。
そしてあなたは15℃の家で暖かいと感じますか???
私の答えはNoです。
せめて冬場なら18℃とか、20℃くらいは欲しいです、よく言えば23℃くらいとか^^;
だからどちらにしろ、暖房をつかわなくてはいけなくて、そうなるとその際の温度差はほぼ誤差しかなくなります。
どちらかと言うと、断熱性よりも設備の性能の差と言えますね。
等級5の家の暖房は23℃に出来なくて、等級7なら出来る・・・
そんな訳はないのですから^^;
どちらの家でも暖房を使えば暖かくなるし、その温度の均一化の質も多少しかありません。
となると等級5の建物でも十分だと言った結果になります。
確かに良い建物なのかもしれませんが、それが本当に正しいと言えるでしょうか・・・・?
■北欧などと比べるとまだまだ・・・・
またまたですが、こういったことを言うとこういった反論が待っています。
『そう言ったことを言っているから駄目なんだ。北欧やヨーロッパと比べると、日本の断熱性能はまだまだ低い。もっと高めていって世界レベルにしなくては駄目だ!』
そう言われる人がいます。
ここで考えたいのが、なぜ断熱性能を世界レベルにしなくてはいけないのでしょうか?
そして、その世界レベルとは本当に世界のレベルを示しているのでしょうか?
簡単な質問ですが、あなたはベトナムの都市『ホーチミン』と、フランスの都市『パリ』の家を比較して、同じ断熱性能であった方が良いと思いますか?
答えは簡単ですよね?
ホーチミンは年間通して、最低気温が20℃以下になることは少ないですが、フランスは1年のうち三分の一以上が20℃以下の日になります。
その両者が同じ断熱性である必要はないのです。
まあ、断熱性が高い方が冷房効率も良いといったことがあるので、断熱性能が高いに越したことはないかもしれませんが、メリットはそんなにないですよね^^;
単純に暖房と比べ冷房の方がエネルギーを使わないので、メリットが少ないと言ったこともあります。
このように世界のレベルと言ってもそれは本当のことではなく、あくまでも北欧やEUなどの世界の中では寒冷な地域との差を話しているのだと言うことになります。
まあ世界の中心はまだまだ西欧諸国なので、こういった会話が成り立つのでしょうが^^;
■日本ではどうなのか?
では日本はどうなのでしょうか?
日本は沖縄から北海道まで比べると、同じ国とは思えないほどの気候の差があります。
沖縄はどちらかと言うと、先ほどのホーチミンに近いでしょうし、北海道はフランスや寒い地域だと北欧に近い気候でしょう。
そのことも国は分かっているので、日本では断熱区分を地域で分けており、沖縄と北海道では全く違った断熱性能を求めています。
まあ、沖縄では言い過ぎなとこもあるので、ここ御前崎と北海道で比べてみます。
同じ断熱等級6を取りたいとなった場合、御前崎では家の性能を0.46(今後も単位は省きます)と言った数値にしなくてはいけないのですが、北海道では0.28と言った数値が必要となります。
この0.28と言った数値で御前崎で家を建てると、御前崎地域区分では、ほぼほぼ最高等級の7が取れる数字となり最高等級の家となります。
逆に0.46で北海道で家を建てると、法律で求められている性能ギリギリになり、ある意味最低評価の家となります。
ちなみに断熱等級6と言えば、かなりの性能であると言えることから、これだけの地域差があることを覚えておかないといけません。
そんな地域によってまったく必要な答えが異なるものを、世界に負けているから・・・といった理由で、考える必要はないのです^^
ちなみにこれも他のサイトからの情報なのですが、北欧のスウェーデンでの断熱の基準は0.4と言った数値のようです、
スウェーデンと言えば、1年の半分が日本だと冬だと言われる気温になるエリアです。
そのエリアの家の数値を理化したうえで考えて欲しいですが、ここ温暖な御前崎の家で等級7をとるには0.26と言った数値が欲しい状況になっているのが現実ですが、これでもまだ世界に劣っていると言えるのでしょうか?
■ではなぜ断熱性能を上げるのか?
こういったことを分かっていながら、なぜハウスメーカーは断熱性能を上げたがるのでしょうか?
答えは簡単。
その方が費用が上がるからです^^;
そして、それに価値があると思えば、多くの人はそのお金を払ってくれます。
表面的にはWIN-WINです。
また、国もこの動きに賛同しています。
理由はSDGsの流れで、排出するCO2の削減をしなくてはいけないのですが、住宅の省エネ化はこの削減に役立ちます。
しかし、それの流れが一行に進みません。
理由は簡単で、そんなことをしても企業としても個人としても儲けがないからです。
地球の為に!と言った文句は聞こえの良いものですが、それをすることで得が無ければ動きは鈍るのは当然の結果です。
だから、企業には補助金を与え、更には個人には補助金と同時に法律の強化を与え、強制的に断熱性能の高い家を造らさせます。
そうすれば、その為の費用増があり、そしてその利益分が税金として戻ってくる。
ここでもWIN-WINの関係が築かれているのです。
まあ、一般庶民には何の得もないのですが^^;
こういった状況なので、今『断熱性能を上げても意味が無いと』言っている会社は少ないです。
まあ、当社の仁藤はずっとそのことを言っていますが、まだまだ声は大きくないので、ハウスメーカーのような大声を出せる人には敵いませんが・・・
住宅会社の多くが、毎年のように顧客を減らしています。
これは少子高齢化の影響もありますし、実質賃金の減少、また晩婚化など色々な原因で起こっており、住宅会社の努力や頑張りではもう顧客を増やすのが困難な時代となりました。
それでも、会社は運営していかなければいけません。
となると数が減っているのなら、1件の単価を上げざるを得ない。
その為には今まで以上の価値がある家にしないといけない。
しかし、そんな簡単に価値を上げることが出来ない。
そのタイミングで、断熱を上げると良いと言った風潮が出てきた・・・・
これだ!
この波に乗れたら、断熱性能を上がることで、単価UPが出来る!!!
ここまで安直な考えではないでしょうが、こういった流れがあるのは誰でも想像つくことですよね^^;
■本当の価値は人それぞれ
さて、ここまで断熱についてのことを書いてきましたが、現状の状態は理解してもらえたでしょうか?
批判的に書いてきましたが、別に断熱性が高い建物が悪いと言っているわけではないのです。
私が言いたいのは、『そこに価値があるのか?』
そしてその質問に対する私の答えは、『メーカーが言っている程の価値は無い』と言うことです。
住宅はここ10年で一気に多様化が進み、人それぞれの価値観を重視するようになりました。
しかし、その為には従来の画一的な家づくりや、これまでの積み重ねてきた工法の変更などが必要となり、どうしても安くは出来ない状況が続いています。
簡単に言うと、お金が掛かるのです。
また同じように断熱性を高めるのにも、お金が掛かります。
つまり、断熱性を上げながら自分の価値観を重視しようとすると、多大なお金が掛かることになります。
お金に余裕がある人ならそれでもいいでしょうが、普通の人ならそれだときついはずです。
だったら、断熱性をそれなりの状態にしておき、費用増を自分の価値観の向上のために使用すれば、限られた予算の中で多くの予算を割くことができ、より自分なりの家を建てることが出来るようになります。
言うならば、『自分的価値観の高い家』にすることが出来るのです。
私が今回言いたかったことはこのことです。
断熱性を高めれば、確かに建物の価値はあがります。
しかし、皆さんが欲しいのは『建物の価値が高い家』ではなく『自分的価値観が高い家』ですよね?
その実現のために邪魔になるのは、既存の価値観で家を建てるハウスメーカーだし、その情報を鵜呑みにする旧勢力です。
既存の価値観では、『性能の良い家』=『価値が高い家』ですが、今は異なります。
しかし、既存の勢力は今までがそうだったので簡単に価値観を変えることが出来ません。
なので、今回上げたように半分意味がないと分かっていても、既存の考えからの価値観にすがるしかないのです。
その価値観とあなたの価値観が合えば良いのですけれどね^^;
■まとめ
今回の記事は多くのところから批判が来そうな記事でした。
それでも伝えたいと思って書きましたが、読み返してみるとまあ怒ってくる人もいそうですね。
しかし、今回は同業社のことを悪く言いたいのではなく、そういった風潮であることをお伝えしたかった記事としてとらえてもらうと嬉しいです。
今回はここまで。
では、また!