■絶対に買わなくてはいけないものではないのです
年末年始を迎えると、少し時間が出来てこれまでのこととかを思い出しますよね。
私の場合は毎年決まって、過去のお客様とのやりとりを思い出します。
大体、大変だった記憶ばかりですが^^;
その中で印象に残っている人のエピソード、そしてそれは今住宅を検討している人にも伝えておきたいエピソードがありましたので、今回はそれを紹介していきたいと思います。
■住宅を買うことに固執して、人生を間違えてしまった家族
もう10年も前の話です。
とあるお客様と商談をしており、問題が無ければ私の会社にて契約をする手前まで来たお客様の話です。
その方との打ち合わせは順調で、初回から数回もしないうちに契約の話が出てくるくらいでした。
しかし、契約が間近に迫ってくると少しづつ歯車が狂っていきます。
まず最初に起きたことは、奥様の妊娠です。
これだけ聞くとおめでたいことなのですが、そのことを話している本人たちはとてもくらい表情です。
理由は当時旦那様は単身赴任であまり家におらず、そういった行為はした記憶がないとのことで・・・・
そう、その相手は奥様の浮気相手・・・
その相手との子供が出来てしまったとのことでした。
もうそうなってしまうと、家どころの話ではありません。
離婚なども考えられるために、家の話はするべきじゃないと私は思いました。
なので・・・・
『では、住宅の話は無かったことにしましょう。今はそのことに時間をお使い下さい』
と言ったんです。
いったんですが、帰ってきた回答は『いや、やめませんよ 』との回答^^;
私は意味が分からなくて、どういったことでしょうと聞くとさらに凄い回答が・・・・
『浮気相手の子供でも関係ないので、うちの子として育てるつもりです。だからその子の為にも家が欲しい』
とのこと・・・
それってどうなの?って思いましたが、お二人とも同じ回答だったので、そのまま話は続けることになりました。
■狂った歯車はもう戻らない
しかし、そういって一度狂ってしまった歯車はもう戻りません。
それまで順調だった打ち合わせが中々進まなくなります。
そして、また新しい問題が出てきます。
それがローンが借りられない問題です。
契約をする段階だったので、ローンの仮審査はしてあったので、心配していなかったのですが、契約に当たり本審査をするとローンが借りられないと言った結果になってしまったのです。
理由は旦那様の負債隠し。
お金を借りたりしていないと言っていたのですが、実は消費者金融でお金を借りており、それがばれて銀行からはお金が借りられないと言ったことになりました。
ここで、やめておけば良かったんですが、それでも家は欲しいからどうにかならないかとの話になっていきます^^;
そう言われたらどうにかしますとなり、途中は省きますが色々手を打ち、ローンは借りられるようになったのです。
なったのですが、そういった状態なので貸してくれる銀行は数少なく、しかもどこ金利が異常に高いところばかり・・・
そういった人を対象とした、ブラックまではいかないけれど、薄いグレーとは言えるローンしかなかったのです。
しかし、それでも良いから組みたいとのことでしたので、ご紹介をすることになり、一応ローンの問題は解決します。
■慰謝料の請求が・・・・
そうこうしているうちにまた問題が起こります。
それが『慰謝料の請求』です。
奥様の浮気相手の方から、奥様に対して結構多額な慰謝料の請求があったとのこと。
もうこんなの払ったら住宅なんて無理!って金額でしたが、それを払うとのこと・・・・
じゃあ、住宅はやめですねって言ったのですが、それは関係ないとの話・・・・
この時点でもう私の中では、この人の家を建てては駄目だってマインドになっていました^^;
ですので、あるタイミングでこちらから打ち合わせの打ち切りの話をします。
この時はすごくもめました^^;
今までの時間を返せとか、思わせぶりな対応をするなとか、掛かった経費を返せとか・・・・
散々な言われ様でしたが、契約をしていなかったのがある意味幸いで、破談にすることが出来ました。
■後日・・・・
それから2年くらいたったある日のこと。
そのお客さんとたまたまスーパーであったので、挨拶をと思い話をしたところ、結構な長話になってしまいました^^;
そのお客さんは、あの後別の会社で家を建てたのですが、半年で売却をしたとのこと。
理由は簡単で他人の子供と一緒にいるのが苦痛で離婚をしたとのことでした。
そして売却とは言っても、ローンの残債は残っており、それが1000万円あるとのこと・・・・
まだ30代になったばかりの方だったので、人生をかなりのハードモードで暮らしていくんだなって思うと、少し悲しい気持ちになりました。
その際に私はずっと思っていたある質問をしました。
『お客さんは、なぜあの時に家を建てない選択をしなかったんですか?あの状況を考えたら続けることはリスクしかなかったと思うのですが?』
その際の回答がこちら
『あの時の私には家を建てないと言った選択肢が心に少しもなかった。家を建てると決めたんだから建てないことがおかしいって今だと意味分からない感情になっていました。
だから浮気があってもローンが駄目でも、それらを乗り越えて家を建てるべきだと思っていたんです。
今思えば、全く意味が分からないのですが、当時はそんな気持ちでした。
家を建てると決めたときに、どういったことがあればやめた方がいいってことまで考えておく必要があったのかもしれませんね』
■これは誰にでも当てはまること
私はそのことを深く心に刻みました。
これは誰にでも当てはまることだからです。
今回の方のようなハードな理由で辞める人はほぼほぼいないでしょうが、違った理由で建てない方が良いと言った結論になることもあると思います。
その結論を前から受け止め、そして撤退できる勇気を持つ。
これは皆さんにも言えることではないでしょうか?
これから住宅を買う人全てに聞いておきたいことがあります。
『あなたの選択肢の中に家を買わないって選択肢は、しっかりとありますか?』
もし無いのなら、住宅建築はまだ待った方が良いかもしれません。
住宅建築は幸せを増やすことであり、不幸を増やすことになっては絶対にいけない行為です。
そのことをしっかりと胸に刻んでおいてくださいね^^
今回は以上です。
では、また!