この業界に入って、約20年。
工場や飲食店、ゲーム屋にスーパー、新聞配達など多くの職種を経験してきましたが、一番長くいる業界になりました。
さて、この20年の間で200以上のお引き渡しや担当をさせてもらってきました。
その経験の中である一定の法則を見出すことが出来ました。
それが・・・
『住んでみた後に分かる、お客様にとって良い家に住める法則』
私達はどうしても家を造ることでお金をもらうので、家を売ることばかり考えてしまいますが、お客様にとっては家を買ってから、住んでからが本当の始まりです。
そうなると、買う時には満足していても住んでみたら満足出来なかった・・・では意味がありません。
なので、住んで頂いた後に良い家だと思える家がとても重要なのです。
そして、その法則を約20年掛けて見出すことが出来たのです^^
今回は、その法則の一部を3つに絞ってご紹介したいと思います。
■法則1 明るい家
まず第一の法則は『明るい家』です。
これは一番と言える程の法則です。
明るい家に住んでいる方の大体9割以上が家に満足しています。
また、自分の家を良い家だと言う率も9割を超えて、ほぼすべての人がそうなってくれています。
これには、ちょっとした原則が絡んでいます。
それは、人に備わっている『環境適応能力』の影響が強く働いていることです。
私は専門家ではないので、言葉が違っているかもしれませんのでご了承頂きたいですが、私が言う環境適応能力とは、その環境に合わせた人格や性格に順応してしまう能力のことを言いたいと思っています。
このことは色々な場所やシーンで証明をされています。
例えば、友人が皆勉強熱心なグループにいる子は、勉強が好きでなくても勉強をするようになるとか、プロ野球選手になりたくて必死に練習していた子に親や監督などが、無理無理って言い続けたら本当に無理かもって思ってしまってやめてしまったとか。
他にも例はあると思いますが、良いも悪いも人はその場の環境に順応して生きていくことが本能的に備わていると言われ、
それは人間と言う個体では強くない生物が、群れをなることで強くなるために身に付けてきた能力だと言われています。
それが家の環境でも起きていきます。
人は単純に明るいところに行くと、人は気持ちが前向きになったり、楽しくなったり、快適に感じるようになっています。
逆に暗いところに行くと、後ろ向きになったり、いけないことを考えたり、まあ人によっては暗いところが好きって人もいると思いますが、それが年中位だと気も滅入ってくるのではないでしょうか?
こういった空間に住んでいるとやはり人は前向きに取られるようになり、自分の家は良い家だと思ってくれるし、実際に良い家だと感じている率が高くなると私は思っています。
■法則2 好きな物だけしかない家は振れ幅が大きい
次の法則は良い環境だと、先ほどの明るい家よりも評価が高いが、一転最悪な評価にも繋がる家です。
それが、『自分の好きなものだけしかない家』です。
昨今の自分の好きな物に囲まれて生きていたいといった考えの元、自分の家は自分の好きな物だけを集めた。
そんな家が多くあります。
こういった家は、さぞかし満足度が高いのだろうと思われますが、そうでもありません。
その人が好きな物が、生活に支障が無い物だったり、あくまでの個人的な趣味の物で特定の場所などしか施工しない場合などの満足度は高いのです。
その逆で生活に支障が出るレベルで好きを優先してしまった家や、特定の趣味を家全体に広げてしまった場合は逆に不満や不平の家になる確率がとても高いと感じています。
なぜなら家は生活をする場であって、趣味を楽しむ場ではないからです。
自分が家に求めている物と、家が提供出来るもののミスマッチが起きてしまっているのです。
例えば、15年くらい前に家中をディズニーランドのようにしたいと言われ、本当にディズニーランドの建物をつくっている人達に依頼し、家を建てたことがありました。
出来栄えは正しくディズニーランド、と言うかディズニーシーにある建物そのものが出来ました。
それは外観も内観もです。
住んでからしばらくは毎日が楽しい、こんな家を造ってくれてありがとう!などの声を頂いていましたが、1年くらい経つと態度が豹変していきます。
その理由の一つが『滅茶苦茶に高い補修費用』でした。
これは言っても良いことのはずなので言ってしまいますが、ディズニーの建物の多くも外壁や内壁は、発泡スチロールで出来ています。
大きなスチロールを現場に持っていき、それを削って雰囲気のある形にし、それを特殊な塗装をして本物そっくりな質感を出していきます。
そんな高等技術を扱える人は本当に少なくて、当時施工出来たのはたまたまディズニーの仕事をやっている会社が静岡にあり、たまたまディズニーの仕事が空いていたからやってもらえたと言った事実があります。
そんな特別な物なので、修理費用が滅茶苦茶掛かります^^;
しかも、元が発泡スチロールなので、痛みやすいといったおまけつき・・・・
毎年のように何十万円も掛かる補修費用を見て、そのお客様の態度は豹変していきました。
『こんな家なんで提案したの!?』
『こんなに修理費が掛かるなら先に言うべき!』
『そもそも保証案件じゃないの?!』
『こんな家誰にも売ることも出来ないし、最悪だ・・・』
そんなことを言われるようになりました、まだ住んで1年くらいのことです。
当然ですが、こういった家なので修理費が高いこと、保証は効かないことは説明済みですし、そもそもこういった家が欲しいと言ったのはあなたですからね^^;
そして、住んでから3年後にはその家は売りに出ていましたが、買い手は中々つかなかったですね。
最後にはパン屋さんが買っていたので、住宅ではなくお店なら向いていた建物だったのでしょう。
この件は、かなり特殊な件だと言えますが、好きな物だけを集めた家はしっかりと考えないととても危険です。
もう一度言いますが、家は生活をする場であって、趣味を楽しむ場ではないのです。
趣味に合ったテイストの家を造るとか、 趣味コーナーを作ることくらいでとどめておくことをおススメします。
■法則3 自分の背の丈にあった建物である
最後は自分の背の丈に合った家であることです。
住宅を建てる際に、どうしても無理をしてしまう人がいます。
職業や年収、年齢に性格などを考慮すると、その人に向いている借り入れ額や、住宅の価格はある一定で決まってきます。
それの額を超えてまでも、自分の欲しい物や理想を追い求めてしまう人が一部いるのです。
理想などで上がった場合はまだいいかもしれません、それが見栄や他人から評価で無理をしてしまう人もいるのです。
その額は人それぞれですが、やはり無理をしている人程、建物への満足度も無くなります。
その方々の話を聞いてみるとこんな感覚な人が多いです。
『こんなに苦しんでいるのに、建物はこんなもんか・・・』
そういった感じで建物への評価は低い傾向にあります。
自慢の建物が出来たけれど、同じ時期に建てた友人の家の方が良い家だった。
ああすればもっと出来た、こうすればもっと・・・そんな感情に捕らわれると言います。
また、金銭的に無理をしているので、将来への不安も建物の評価を下げてしまっている要因です。
建てる前にはもう欲しくてしょうがないので、頑張って返していこう!なんて前向きな言葉である意味ごまかして家を建てますが、実際にはお金への不安は常に付きまとっています。
それが家が出来てある程度冷静になれると、途端に不安が押し寄せてきます。
今は共働き出来ているけれど、一人になったらどうしよう・・・
子供がいないし、作るつもりもないけれど出来てしまったらどうしよう・・・
子供が将来海外留学したいと言ってきたら、お金は出せるのだろうか・・・
ローンを最長で組み返済終了が80歳だが、本当にそこまで返していけるのか?年金がローンの支払いだけで終わってしまうのではないか・・・
そんなことを思う生活で、自分の家が良い家なんて思えるわけがないのです^^;
やはりこういった方は、良い家だとは感じていない傾向が強いです。
■どうしたらいい家になるのか?
他にも色々な法則がありますが、今回はこの辺りで。
さて、そういったことをまとめていくと、どうしたらいい家になるのか?
その答えが見えてきます。
色々な条件や人による条件などのもあるので、全員に言える法則はありませんが、これだけは押さえた方が良いところは紹介出来るので、これも簡単に紹介していきます。
1、明るい家
これは先ほど言ったことです。これは本当に満足度が高いです。
2、家に求めるのは、『安心、安全、健康、お金の安心』
次に大きいのは家に求めるものをしっかりと定めることです。
そしてその項目は4つだけ
『安心、安全、健康、お金の安心』
これだけです。
この4つが完璧になっていたら、人生本当に楽しいはずです。
だって困ることが無いんですから^^
だから、これらが今の生活で揃っているのなら、家建てなくてもいいです。
あとは職場や人間関係を潤滑に出来るように頑張っていければ、最高の人生となるでしょう!
3、人の話をよく聞く
これは住宅だけではなくて、全ての事に言えることです。
住宅を買うとなると、自分の好きな物欲しいものをどうしても採用したくなり、それ以外の選択肢を否定してしまう人が沢山います。
それは本当にもったいないことです。
また、住宅営業や監督の話も聞いておくべきです。
今の時代、情報が簡単に手に入るので、しっかりと勉強をすると、住宅営業よりも詳しくなることも出来ます。
だからその情報だけをとって、『こいつは私よりも知識が浅いやつだ』と思い、話を聞かなくなるのはもったいないです。
中には本当に勉強不足で、あれもこれもお客様の方が詳しいってこともありますが、一般的な営業ならそこまでは無いはずです。
また、営業の裏には会社があり、その会社もまた裏には協力業者、製造メーカーなどがありと、実は営業自体に知識がなくとも、会社やその裏には信じられないほどの知識が詰まっています。
営業はそれらの知識を引き出す、生き字引みたいに使うくらいの感覚でも良いかもしれません。
どうしても住宅を建てるとなると、考えが主観的になってしまいますし、損をしたくない、後悔をしたくないなどの気持ちでより内向きな考えに固執をしてしまいがちです。
それらが他人の意見を聞くことで、視野を広がったり、よりいい考えに辿り着けたり、間違いに気が付けたりします。
そういったことが将来の良い家のためになると思い、人の話をよく聞いてみるのもおススメです。
今回は以上です。
住む前の話は情報が多いですが、住んでからの話は情報が少ないです。
最近ではOBさんのブログなどで見ることが出来るようにもなりましたが、それも少数。
そんな中でも住んでから良い家だと思える建物を建ててもらいたいと思い、今回の記事を書きました。
皆さんの参考になれば幸いです。
では、また!