■倫理的にそろそろまずいのではないでしょうか・・・・?
この時期になると毎年目に入ってくる広告があります。
それは・・・
『新築一棟OOO万円でお譲りします!』
こんな広告です。
この広告って嘘はついておらず、本当に当選すれば新築をOOO万円と言った信じられない金額で買うことが出来ます。
なので、ここ静岡ではかなり人気がある商品で、毎回のように1000人単位で応募があるようです。
今回はそんな商品の応募した人の話をしてみようと思います。
■まだ建てる気はなかったけれど・・・・
もう数年も前のことです。
自分がまだ住宅展示場で店長をしていた時の話。
住宅展示場内にあるトイレに行っていた時の話。
あるお客様が怒った感じで、他の会社の展示場から出てきたのですね。
たまたま見える位置に立っていたので、見てしまったのですが、相当な起こり様・・・
なにがあったのかは分かりませんが、結構な大声で怒っています。
私は触らぬ神にたたりなしとばかり、見ないふりをしていました^^;
あぁ担当営業さんは大変だろうなーなんて他人事のように思い、トイレを済ませて展示場に戻ってみると・・・
いたんです^^;
あの怒っていたお客さんが・・・・
こんなこと言ったら失礼になりますが、そのお客さん私・・・・接客したくなかったです。
だって、怒っているの知っているし・・・
とは言っても、それを部下の人に接客させるのもまた違うので、ある意味なくなく接客をします。
すると、先ほどとはうって変わってとても落ち着いて、むしろおとなしい感じのご夫婦でした。
なので、いつかは言うことだしと思って先ほど怒っていましたよね?って直球できいてみました。
『あれを見ていたんですか?お恥ずかしいところをお見せ致しました』
そうやって静かにことのなりを話てくれたんです。
その最初の言葉は・・・
『まだ建てる気はなかったんだけれど・・・・』
■友人の勧めで展示場に行ってみた
そのお客さん、まあAさんとしましょう。
Aさんは結婚をしたばかりで、まだ家は考えていませんでした。
しかし、ある友人の誘いで、一緒に住宅展示場に行こう!と言われ半ば強引に連れていかされることに。
奥様としては、今はまだ考えていないけれど、将来的には欲しいと思っているから勉強ついでに良いかなって感じでいったとのこと。
そして行った先で、たまたま先ほどの新築一棟OOO万円キャンペーンが行われており、まだ検討もしていないAさんにも展示場で猛烈なアプローチが行われました。
Aさんはまだ建てる気はないと言いましたが、友人も勧めてくるし、営業マンも1000件以上の申し込みがあるからまず当たらないから、営業マンのノルマを助けるつもりで申し込みだけをして欲しいと言い出して、もう面倒になったAさんは申し込みをしてしまったとのことでした。
ただ、遊びでいくだけのはずだったのに、半ば強引に申し込みをしてしまったのです^^;
■そこからのアプローチが凄い!
Aさんは営業マンのノルマのために申し込みをしただけと思っていましたが、その日から毎日のように営業マンから連絡があります。
Aさんは建てる気はないと言っていたのですが、営業マンは『当たるかもしれない!』『当たったら、その権利を捨てるのはもったいない』
将来建てる気があるなら、今建てなくても一度考えるくらいはしても損はない・・・
そんな攻勢で来られ、負けてしまったAさんは住宅のプランを書いてもらうことにします。
Aさんはこの時点で、なんだか話が変な方向に進んでいるなーと思っていたのですが、奥様はいつかやることだしいいんじゃない?外れたらやめたらいいんだし、くらいの軽い気持ちだったそうです。
そこから当選発表の日まで、数回の打ち合わせを行い、それなりに家のプランが出来ていたとのことでした。
■見事落選・・・・しかし・・・・
そんな状況でついに当選発表の日を迎えます。
結果は・・・・みごと落選^^;
その時の応募数が2000を超えていたようで、まあ当然の結果といったところでしょうか?
Aさんはこれでもうおしまいだね、また建てたいと思える日が来たら来ようか。
なんて思っていたら、営業さんからこんな電話が・・・
『Aさんおめでとうございます!無事当選しました!』
え?どういうこと?
HPの発表を見ると外れているんだけど????
そういうと、営業さんはこういいます。
『展示場をお譲りするのは残念ながら外れました。しかし、その外れた人だけに与えられる別のキャンペーンがありまして、それにAさんが当選されたんです!』
そんな話は聞いていなかったけれどと思いましたが、当選と言われると気になります。
『ちなみにそのキャンペーンはどういったものなのですか?』
そう聞くと、なんと新築を500万円も値引きをして建てられるとのことでした。
確かにOOO万円に比べたら全然足りないけれど、500万円はかなり大きい値引きです。
しかし、自分一人では決められないとのことを伝え、奥様に確認すると言うと・・・
『期限は明後日までです。そこまでに回答が無ければ、他の人に権利が移りますのでご注意を』
そんなに焦らないといけないの!?と思いましたが、確かにかなり魅力的ではあります。
その日に奥様に相談すると、
『折角だしいいんじゃない?プランとか考えてあるから、それを捨てるのももったいないし』
そういった流れで、キャンペーンを受けることにします。
■条件は契約すること
さて、そういった流れでキャンペーンを受けることを伝えると、条件として契約をすることが条件であると言われます。
その期限はなんと1週間・・・^^;
間取りなどは作りましたが、金額のことはほとんど話をしていないので、それは無理なのではと聞くと、皆さんそうされています。
契約後に金額を変えることも出来ますので安心してくださいとのこと。
もう家が欲しくなっていたこともあり、他の人もそうなら問題は無いかと思い、Aさんは契約に至ります。
契約金は200万円、何とか手持ちがあったので対応ができました。
しかし、これが間違い連続の始まりでした・・・・
■作った間取りに合う土地が無い
Aさんは土地が無かったので、まずは土地から探します。
しかし、Aさんが造った希望のプランにあった土地が中々見つかりません。
それもそのはずでAさんの希望は平屋建て。
2階屋に比べ、同じ大きさの坪数の家なら、2倍の土地が必要になるからです。
少し郊外に出れば、あるのですが、仕事の都合電車を使うのでどうしても都心部にて建築がマストであり、そこは譲れません。
営業さんも探しているようですが中々出てこずに約半年が経ちます。
最初の1か月くらいは営業さんから連絡がきていましたが、それからはほとんど情報がこず、それからはほぼAさんだけで探している状況でした。
もう見つからないと思ったAさんは、図面の変更を考えます。
土地合わせた図面にすれば見つかるだろと思ったからです。
■図面変更は有料になる
しかし、そこで問題が起きました。
なんと図面の変更はお金が掛かると言われたのです。
Aさんは契約後でも、自由に変えられると思っていたのですが、変えられるのはオプションに当たるものだけで、図面の変更は出来ないとのこと。
その理由を聞くと、この図面はすでに構造計算などを行っているプランなので、変えるとそういった費用が掛かかりそれは実費になるということでした。
とても腑に落ちませんでしたが、まあプランは気に入っているので変更は無しと言うことで土地を探していきます。
一応、この状況でもキャンペーンは有効なのか?と確認したところ期限はないとのことだったので、そこは一安心といった感じで進んでいたと言います。
そして、そんなこんなでようやく土地が見つかり、契約から約1年半経った状況でようやく話が進みます。
■コロナ過で追加になる
次が最大の問題となりました。
Aさんが契約したのはコロナ過前。
しかし、土地を探している1年半の間にコロナが流行り、世間では物が足りないとか木が無いとか言われ始めた時期となっていました。
そのタイミングで出された金額はなんと・・・・
契約金よりも500万円以上も上がっていたのです。
Aさんはさすがにびっくりしてその理由を聞きます。
理由はコロナ過で物が無く、海外から取り寄せになってしまっていることや、木の値段がとてつもなく上がってしまっていること。
その他にも、この1年半の間に色々な値上げがあって、それらを足すとそうなってしまうとのこと。
この金額だと、払えないと思ったAさん夫婦は値下げをしてもらうことを頼みましたが、もうすでに500万円もしているので1円も無理との回答。
安い土地を買うか、お金を払ってでも図面を変えて小さい家にするくらいしか方法が無いと言われます。
ただ、500万円もさげる間取り変更や土地変更だと、もう希望のかけらもない家になってしまいます。
なので、Aさん夫妻は1年半以上頑張った家づくりを諦める選択をします。
そしてそれを伝えた日が、私がトイレに行く途中にAさんを始めてみた日でした。
■違約金は20%
Aさんは断腸の思いで、契約を解除することを伝えに行きます。
契約時に解除したときは、設計費や実費が掛かったものなどは精算されると聞いていたので、まあそのくらいは諦めようと・・・・
しかし、出てきた金額は衝撃的なもの。
なんと契約金の20%。
約600万円を請求されたのです。
その相手の言い分がこちら。
『契約の無条件解除は契約後1か月と契約書に書いてある。それ以降はどんな条件でもAさんからの解除は全て20%の違約金が掛かる。
住宅ローンの申請も終わっているし、住宅ローン特約の使用も出来ない。さらに本来は違約金に重ね図面の作成費なども請求したいくらいだが、今回はそこは目をつぶるので、今日解除の意向を示されたので、本日から2週間以内に違約金の振り込みをお願いします』
これを聞いたAさんは激怒に激怒して、そして大きな声を出しながら展示場を後にした。
その場面を私は見ていたわけです^^;
■土地を速やかに提供することが約束の契約だったから
そういった話を一通りし終わるとAさんは落ち着いたようで、今後どうしたらいいでしょうか?と聞いてきました。
助けてあげたいのはやまやまでしたが、何も情報もないし、話を聞いただけだと本当のことが分かりません。
そんな話をしていると、本日破棄する予定だったので契約書を持っているとのことでしたので、中身を見せてもらいました。
中には確かに20%の件書いてあります・・・・
またその期限も1か月もしくは住宅ローンの申請が終わるまでと書いてあります・・・
これはほぼ無理かなと思いましたが、契約書の中のある一文に目が留まります。
『建築をするための敷地を速やかに提供すること、また現状所有していない場合は速やかに所有が出来るように尽力をすること。これは甲(さん)乙(ハウスメーカー)共に協力し、いち早く所有をするように尽力をすること。』
実際にはもっと難しく書いてありましたが、こんな一文が目に留まります。
先ほどの話なのかで、営業さんは最初の1か月は情報を送ってきたが、それ以降はないと言った話があったはずです。
この状況はこの条文に反しているのではないか?
そう思い、Aさんに伝えると確かにそうだ!この条文に反した営業をされていたとのこと。
またそのせいで、時間が掛かり金額のUPが進んだ事実もあります。
では、この条文を武器に話をしてみたらいかがでしょうかとお伝えし、その日は解散となりました。
■契約金の破棄だけで済んだ
そこから1か月程度たった日。
久しぶりにAさんが来て、ちょっとした菓子折りをくれました。
話を聞くと、解約は無事に出来たそうです。
私が話した土地の件で、話を進め、最終的には静岡県のエリアマネージャーって人まで来た話になったそうです。
そこで、相手は自分達の非を認め解約の手続きになりましたとのこと。
ただし、実際にここまでの費用として掛かったもの、図面や設計、地盤調査費用費用などを合わせた、200万円を請求されたとのこと。
まあ言い換えると契約金は返さないぞとの話だったのですが、Aさんはいい勉強代だったとし、それを受け入れ正式に解約してきたとのことでした。
その帰りにお礼として菓子折りをもらった次第です。
200万円ももったいない気がしますし、ハウスメーカーは実際には200万円なんて掛かっていないでしょうが、それを証明するのも面倒ですし、そこで話がこじれてもと言うところでのある意味上手な引き際だったと思います。
その後Aさんに、だったら家で建てますか?と聞いたら、笑顔でNo^^
もう新築は懲りたことと、この1年半で色々考えた結果、Aさん夫妻にはマンションが向いているといった結論が出ており、もうある程度めぼしはついているとのこと。
それなら良かったと、笑顔で送り出した。
そんな昔の出来事でした。
■即契約を言ってくる会社は警戒しよう
今回の話のまとめとして、即契約を求めてくる会社には警戒が必要です。
悪意を持って行っているところは少ないとは思いますが、今回のようなトラブルになる可能性が大いにあります。
住宅は大きな買い物です。
だからこそしっかりとした流れでの契約をおススメします。
今回はここまで
では、また!
新プラン誕生です!
こちらもチェックをお願いします!
スマート・オフ・グリッド・ハウスのことは、こちらから