株主資本主義と財務省の財政均衡主義に
挟み撃ちされている日本国民
[三橋TV第787回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/QWSlzzpc82U
現在の日本は「貨幣の勘違い」によって
亡びつつあります。
もちろん、正しい貨幣観、財政観が
国民や政治家に広まりつつあり、
「ギリギリ」
の言論戦、情報戦が
繰り広げられています。
皆さんは、一万円札という
現金紙幣を「信用」していますよね。
ならば、
「あらゆる銀行が、
独自の銀行券を発行できる」
と聞くと、どう思いますか。
「え?そんなことしちゃダメだろ」
と、思うかも知れませんが、
それ勘違いです。
みずほ銀行や三井住友銀行、
三菱UFJ銀行などが
「みずほ銀行券」「三井住友銀行券」
「三菱UFJ銀行券」を発行したとして、
何が問題なのか。
実は、恐ろしいことに、
何の問題もないのです。
なにしろ、大手銀行が
銀行券を発行したところで、それは、
「誰かがおカネを借りる際に
銀行預金の数字を打ち込む代わりに、
紙切れに数字を書いて渡している」
に過ぎないためです。
日銀発行の銀行券だけが信用できる!
というならば、
貴方の銀行口座の預金(デジタルデータ)を
信用するのをやめて下さい。
銀行預金と、銀行券との間には、
本質的に何の違いもありません。
単に、デジタルデータか、
紙に数字が書かれているか、
の違いでしかないのですよ。
ちなみに、スコットランドでは
「イングランド銀行券」に加えて
「スコットランド銀行券」
「王立スコットランド銀行券」
「クライデスデール銀行券」などが
流通していますが、
特に何の問題もありません。
イングランド銀行券以外でも、
普通に銀行に預金できますし、
納税もできます。
我々が
自分の口座を所有する銀行の預金で
納税できるのと同じなのですよ。
なぜ、多くの国で
「銀行券」が一行(中央銀行)発行の紙幣に
限られているのかといえば、
単に「紙幣が複数あると
面倒くさい」ためでございます。
現金紙幣は中央銀行が発行する。
その他の銀行は、
貸し出しの際に貨幣
(銀行預金というデジタルデータ)を
発行することは可能だが、
紙で出すのは(面倒くさくなるので)禁止、
というだけの話に過ぎません。
「紙にする?デジタルデータにする?」
というだけの違いでしかない。
もっとも、中央銀行が
発行する現金紙幣は、
市中銀行の銀行預金と比較すると
強力な担保を持っています。
そもそも、銀行預金の担保が
何かといえば、
我々が借り入れる際に
供出する借用証書です。
つまりは、銀行のバランスシートでいえば、
借方に計上される「貸付金」です。
もちろん、現実のオペレーションでは、
銀行は不動産等の担保をとり、
与信を評価して貸し出しを行なうのですが、
狭義の担保は貸付金です。
銀行はバランスシートの借方に
貸付金を計上すると同時に、
貸方に銀行預金を計上する。
同時に、借り手のバランスシートの借方に
銀行預金という資産が
計上されるわけですね。
そして、市中銀行が
デジタルデータ(銀行預金)だろうが
現金紙幣だろうが、
貸し出した債権は
債務不履行の可能性はあります。
なにしろ、借り入れているのが
民間企業でございますので、
ビジネスに失敗すると、
借入金は返せません。
それに対し、日本政府が
日本銀行から日銀当座預金を
借りたとことで、
債務不履行は起き得ないのです。
そもそも、日本銀行が発行する
日銀当座預金、
現金紙幣の狭義の担保は何なのか。
日銀のバランスシートを見れば分かります。
【2023年3月末時点
日本銀行のバランスシート(兆円)】
http://mtdata.jp/20231128-1.jpg
日本銀行は日本国債
(及び国庫短期証券)と引き換えに、
日銀当座預金を発行します。
現金紙幣は、日銀当座預金を保有する
市中銀行が「引き出す」形で発行されます。
つまりは、日銀は国債を
引き受けないことには、
貨幣を発行できないのです。
(今はETFやREITも買っていますが、
これは例外的措置)
そして、日本銀行は
日本政府の子会社。
厳密には、日本政府は
日本銀行の出資証券の55%を
保有しています。
日本銀行が日本政府に
「金返せ」などと言ってくることは
あり得ません。
日本銀行が保有する国債など、
地球滅亡の日まで
借り換えされるだけです
(実際に、そうしていますが)。
つまりは、日本政府に
貨幣的な制約はありません
(供給能力の制約はもちろんある)。
それにもかかわらず、
日本政府が真っ当な政策に
踏み出せないのは、
結局のところ貨幣観を
間違えているためです。
日本銀行券と、
市中銀行に皆さんが
保有する銀行預金は、
本質的に同じものです。
市中銀行が銀行券を発行した場合も、
同じです。
この貨幣の本質を、
なかなか皆さん理解できないようですが、
いかがでした?
/// 事務局より ///