■なんのためのシミュレーションなのか考えてください
本日、保険屋さんが来社されて「ライフシミュレーション」のことの説明をされていきました。
私達の言うライフシミュレーションとは人生におけるお金の流れの話がメインになります。
旦那様が家を建たれたら何年後はこんな収入で、10年後にはお子様が大学に行くのでこの位お金が必要で、奥様は5年後に働き出すので世帯収入はこうなって・・・
そんな主に将来のお金の流れを確認する作業のことです。
一時期このシミュレーションが凄く流行って、誰もがやっていた時期がありましたが、ここ数年は下火になり、また最近話を聞くようになったなーって感じで、今回も今まで取引のなかった会社さんからの提案となりました。
このライフシミュレーションですが、上手く活用できればいい材料なのですが、実際に上手く使えている人は数少ないと思います。
むしろそれをやることでマイナスになっている人の方が多いかも・・・?
今回はそんなライフシミュレーションについて話していこうかと思います。
この記事の提供は、そういえばいつも「シミュレーション」と「シュミレーション」のどっちが正しいのだったかな?って毎回迷う店長がお送りいたします。
■ライフシミュレーションをやる意味と意義
まず最初にこのライフシミュレーションをやる意味、そしてその意義を説明します。
この答えを最初に言うと「安心感」を得るために意味があり、その為の意義があります。
住宅建築において、最もネックになるのが「お金」です。
お金持ちの方ならあまり気にしない金額かもしれませんが、住宅価格の数千万円って金額は一般的な方には本当に大金です。
それを人生の1/3の時間、約30年程度を使って支払っていくほどの大金なんです。
なので、多くの方はこんなに大金を借りて大丈夫なのだろうか?
借りたとしても返していけるのだろうか?
そんな不安や心配にかられます。
そんな時に役に立つのが「ライフシミュレーション」
予測値にはなりますが、将来に渡ってのお金の流れを把握できるので、ローンを借りた際の将来の不安材料の把握が出来ます。
冒頭で書いた様に大学進学などの大きなお金がいるタイミングや、車の購入、結婚、出産など色々とお金が掛かることが多くあります。
そういったことも人生の予定として入れておき、それらをシミュレーションすることで安心出来るんです。
また、その計画が破城しないためには、どうしてお金を利用したら良いのかなども把握が出来ます。
例えば最近では投資が流行っているので、結構な額を投資している人もいらっしゃいます。
その中でもお得な制度である積立NISAやiDeCoなどは多くの方が利用されているのではないでしょうか?
確かにこれらはお得なのですが、原則途中解約は出来なかったり難しかったりして、その期間中にはそのお金が使えない可能性があります。
折角貯めていても必要な時に使えないのであれば、困ってしまうケースも多々あります。
特に大学進学などが近い場合は、投資よりも預金にまわし、現金で運用する方がお得な場合もあります。
このように将来の安心のためや、その為の計画に使うことに意味があるのが「ライフシミュレーション」です。
■実情は異なることが多い
このような本来の意味で使うには、プラスこそあれマイナスが無いシミュレーションなのですが、実際に行われているデータなどを見ると、違った使われ方が多いと感じます。
時にはそれらを悪意をもって行っているケースも見られるので注意が必要です。
次は実際にあった間違った使い方の例をあげていきたいと思います。
■悪意のある運用法 その1 資金の上乗せに使われていた例
まず一つ目は資金の上乗せに使われていた例です。
住宅は高額なため、多くの方がなるべく少額で家を建てたいと思っています。
しかし、ある程度のメーカーになると更に高額な商品となり、一般的な方は手を出してはいけない金額になっています。
それでも住宅メーカーは売らないといけないので、多少の無理をしてでも建ててもらわないと困るといった実情があります。
その際に悪用されるのが、このシミュレーションです。
シミュレーションはあくまでも予想値なので、いくらでも変えることが出来ます。
私が実際に見たことがある例でひどかったものを簡単にご紹介します。
その方はあるハウスメーカーでシミュレーションをしてもらっており、その結果5000万円までなら借りても大丈夫、将来も不安なしといった結果がでていたので、5000万円の予算で考えていますと言われました。
しかし、その方の年収を見せて頂くと400万円程度。
奥様も働くとは言っていましたが、子育てが落ちつくまではほとんどパートタイマーだと言うことで、世帯年収としたら約500万円です。
少ないとは言いませんが、5000万円も借りていい年収とは言えなかったので、そのシミュレーションが怪しいと思い見せて頂きました。
そしたらびっくりしたのが、旦那様の年収です。
なんと毎年2万円づつ給料が上がるようにシミュレートされており、10年後の年収は600万円強、20年後に至っては800万円を超えている金額でした。
確かにこの通りに上がっていき、さらに奥様も正社員になっていければ支払いは問題ないどころか、80歳では4000万円も貯金があるといったシミュレーションになっていました。
しかし、実際の話を聞くと旦那様は30代中盤の方で大学卒業から同じ会社で約10年お勤めをされていましたが、その初任給から上がった基本給は2万円だったそうです。
年間に直すと毎年2000円の昇給ですね。
シミュレーションの1/10の額です。
そして、今後も何かない限りはそんなに昇給をしないらしいとのことで、そもそもがこの計画が成り立っていません。
そこでなぜこのようなベースアップ計画になったのかと聞いたところ、深くは話はしていなく、一般的なデータを入れておきますと言われた程度だったようです。
ちなみにネットにあった情報ですが、2021年のベースアップの平均は約6000円でだったそうです。
一般的なデータってなんなのでしょうか・・・・?
また、仮に今の会社にお世話になり続けた場合、10年後に年収が600万円になる感覚はありますか?と聞いたらそんなの無理って・・・・
なら20年後に800万円はっどうって聞いたら、そんなの工場長くらいしかもらえていない金額ですって・・・・
しっかり内容を見ていなかったお客様も悪いとは思いましたが、こんなにお客様の環境と異なった提案をすることに疑問しかありませんでした。
その中で考え、そしてだした答えは「資金の上乗せの為に悪意をもってあげた」こと。
そのデータを出した他社さんの見積りを拝見したところ、総額が約4900万円。
これを見たときにあ~って思いました。
きっとこの4900万円を払って大丈夫だよって答えを出したくてそういった結果を作ったんだなって。
多分、見積りが先でシミュレーションが後だったんだろうなって感づきました。
自分が出した見積りを正当化したかったんだろうな~って・・・・
実際に私が勘繰ったように、見積りを出してもらった後に、突然営業さんからシミュレーションやりましょうって言われたみたいです。
正確な状況は分かりませんが、悪意があるようにしか思えないですね^^;
多分高額な見積りを見たお客様の顔色が良くなっかったので急いで作ったのでしょう、金額のこと以外にも色々なボロがありました。
その結果そもそも無理な状況でもあったし、計画自体が成り立っていなかったのです。
まず、このお客様の年収だと返済比率を考えると、審査金利が0.5%だったとしても借入総額は4500万円が限界です。
この金額で毎月約12万円、年間に140万円で返済比率は35%です。
フラット35ならこの返済比率でも貸すかもしれませんが、一般的な銀行だと多分貸さないところが多くなります。
しかもフラット35ではこんなに金利が安くないので、もっと借入可能額が減ります。
なので5000万円に到達するには、奥様に急いで働いてもらうことや誰かから500万円以上の資金援助をしてもらわなくてはいけません。
正直どちらも厳しいですね^^;
この例は本当にひどい例でしたが、実際にあったことであります。
■悪意のある運用法 その2 保険の勧誘に使われた
次は最も多い運用方法です。
実際にこのシミュレーションを頼んでみると驚くことに多くの会社が無償で行います。
実は当社でも行うことが出来、それも無償で行います。
実物のデータをお見せできればいいのですが、個情報が多く見せられず申し訳ないのですが、この資料は20ページ近くもあり、データやその根拠、そして今後の対策なども書かれたとてもすごい資料です。
当社以外のデータも多く見ていますが、大体の会社が同じようなデータを作っています。
ある程度はテンプレなのですが、個人に合わせて情報やデータは書き換えるので、作る手間もかなり掛かります。
それを無償で行うと言うことに、疑問を感じないといけません。
それを無償で行うことで発生した費用はどこかで回収されるんです^^;
その回収方法で最も多いのが、「保険の勧誘」です。
先ほどに上げた適当なライフシミュレーションではなく、しっかりとしたシミュレーションをすると、多くの方がお金に不安が残るシミュレーション結果になります。
それは当り前で、一般的な方が何千万円もローンをするからどこかに無理がでるのはしょうがないことです。
その無理と不安を上手に使って保険の勧誘をしていきます。
医療保険や学資保険、がん保険に車に火災にと多種多様な保険の話が出てきます。
お金の不安を見たばかりの方なので、そういった「安心」を見せられると、とても魅力的に見えるからです。
なので、このシミュレーションの多くは保険会社、または保険も取り扱いのあるFPさんによって行われることが多いです。
シミュレーションを作った人は、自社の保険を売ることで利益が出るので、シミュレーションは無料でいい。
そんな仕組みになっています^^;
当然保険なので全てが悪ではありません。
必要な保険に気が付けたと言って喜ぶ人も多くいます。
しかし、シミュレーションをする側の立場になって考えて見ると、何も保険を売らないわけにはいきませんし、何なら少しでも多くの利益を生みたいと思いますよね?
なので、この保険本当にいるの?って保険から、こんなに保証が無くてもいいでしょ?って保険まで、多種多様な保険の販売が行われます。
私が一番びっくりしたのはあるお客様の学資保険の提案。
金額は毎月1万円程度とよく聞く金額だったのですが、びっくりしたのはその期間。
お子様が確か10歳だったのですが、保険期間がなんと20年になっていました^^;
20年後は30歳です。
大学を卒業して、大学院に行って、更に海外留学までも考えたプランだったのでしょうか・・・
多くの現金をお持ちの方だったので、保険には加入せず、問題はありませんでしたが、頼んでも無いのに提案をしてきて、いらないと言っているのにかなり粘って提案されたみたいです。
気が弱い方や不安症なかたなどは加入していたのではないでしょうか?
その場合は流石に年齢の見直しもされるのでしょうが、中々にびっくりとした話でした。
当社も保険関係の人にお願いするので、こういったことが起こるケースも考えられます。
ですので、シミュレーションをする前に絶対に保険関係の方が行うことの説明と、提案が要らない場合はその場で提案は要らないと言って頂くようにしております。
そこまでしてようやくシミュレートできる環境であると言えます。
■でも、お金の不安の解決が出来ることは大事です。
今回は色々と悪いことばかり書いていきましたが、実際のところお金の解決が出来ることは本当は大事なことです。
シミュレーションはあくまでも予測なので、それ通りにはいかないかもしれませんが、不安や問題に備えておくことが出来ることはとても価値があります。
例えば今の職場から転職をしたい場合。
今よりも年収が上がれば問題はありませんが、年収が下がる場合は不安ですよね。
だからと言って自分のやりたい仕事が見つかったり、今の職場に不満がある人はそれでも転職をしたいと思うもの。
そうった際にこのシミュレーションが出来ていたら、どの程度だったら年収を下げても大丈夫か?
また、他の方法でその下がった年収をいくら分カバーすればいいのか?
そんなことを考えられるようになり、生き方の選択肢をもっと自由にもっと安心に選ぶことができます。
住宅建築はそれほど人生の中で大きなウェイトを占めることとなり、嬉しさも反面不安も多くなる買い物です。
だからこそ不安を少しでも減らせる行動をとることは、やはり大きなメリットだと言えます。
■まとめ
今回はライフシミュレーションについての記事を書いてみました。
実際のところ、私も住宅ローンアドバイザーとして多かれ少なかれ、このシミュレーションの作成に携わります。
ですので、色々な良いところ悪いところが見えてくるので、その経験が皆さんの役に立てたらと思い記事にしました。
今回、色々な悪いことを書きましたが、全てのシミュレーションがそうなっているわけでなく、そういったケースもありますと言うこと。
しっかりとしたシミュレーションをする会社の方が多いと言うことを付け足して今回のまとめとさせて頂きます。
では、また!