■間違ったみかたの方ばかりです
今月も10日になって今日からお正月は本当にお終いにしようとしています。店長です。
さて、そんな今年一回目の記事はがっつりとした記事にしていきます。
そんな記事のタイトルは『住宅展示場の正しい見かた』です。
私は年に百棟程度施工している中堅会社や、10棟以下の小規模工務店、また全国規模で数千頭年間に建ている大手ハウスメーカーなどで店長として勤めてきました。
営業職の期間を含めると、15年以上色々な方と接してきています。
そんな中感じていた、また今も感じていることが今回のお題にある『住宅展示場の正しい見かた』
これが出来ていない人がほとんどだという悲しい業界の実態があります。
なので、今回は正しい住宅展示場の見方を皆様にお伝えしていこうと思います。
■なにも知らないけど見てみようは意味がない
まず、一番接客の機会が多かった大手ハウスメーカーにいた際のお客様の間違えの紹介です。
このメーカーの展示場はいわいる住宅公園といったところにあり、合計で90棟近くの展示場がある大規模な場所にありました。
なので来場数はとても多く、住宅公園の年間の来場数は2万とか3万人とかもあるマンモス展示場でした。
そうなると多いのが、『この会社初めて聞くけれど、ちょっと入ってみよう』客です。
多分デザインが好みだったとか、客引きのお姉さんに捕まったとか簡単な動機でしょうが、こういったお客様が本当に多かったです。
こういった動機で入ってくるお客様の90%が意味のない時間を過ごします。
なぜなら、この会社で建てる気持ちが無いので、建物をそもそも理解しようとしないからです。
ただデザインを見て恰好が良い、私には向いていない、好みではないなんて会話をしながら見て回っているお客様が多く、実体験が出来ているのかもしれませんが、これならネットで見る方がよりいっぱい見られるし、自分の好みの物も多くみられます。
また、この会社のことを何も知らないので特徴が分からず、それを説明しようと営業マンが頑張っているはずですが、そもそもそこで建てる気が無いので、頑張れば頑張るほど、耳を閉じていってしまいます。
なので、この展示場の印象も悪い印象で終わり、結果全く意味がない見学になります。
もしかしたら、しっかりと聞いていたら最も自分達に合う会社だったかもしれないのに・・・・
でも全く知らなくて、そこで建てようと思っていないから聞こうとも思いませんよね?
これでは意味が無いを通り越して、もったいない見かたと言えるかもしれません。
他の会社を見てちょっと時間が余ったから・・・・・
だったら家で画像検索などをしてより充実した情報収集をしてみてくださいね。
■デザインで決める(特に奥様)の見かた
次は個人的な偏見も入った見かたになります、全ての方がそうだとは言いませんが、15年以上の経験から感じている見かたになります。
その見かたとは『デザインで決める(特に奥様)』の見かたです。
意外かもしれませんが、展示場のデザインが気に入った、気に入らないで決める方って結構多いんです。
この壁紙おしゃれ、ソファーのセンスが良い、外観が私の好み、色がダークなのが私にぴったり。
そんなある意味上辺だけの会話だけで決めてしまう方、特に女性が多い傾向があります。
これは本当に間違いですよね^^;
大規模な住宅公園にある展示場の多くは、お金を払ってインテリコーディネーターにトータルデザインを頼んでいます。
ですので、デザインの方向はそのデザイナーの意向ってだけの話で、メーカーの考えとは違っている場合があります。
まあ展示場はその会社のデザインの傾向を示す場所でもあるので、大外れではないかもしれませんが、それが決定打にするのは間違いたと言えます。
今の時代ネットが普及しているので、デザインはいくらでも簡単に探せます。
気に入ったデザインがあればそれを作ってもらえば、大体の会社で叶うことが出来ます。
男性の場合は、そういったデザインで決める傾向が少ないので(男性は本心ではデザインに興味がない傾向が強い)女性に言える間違いとも言えます。
(*個人差はあるので、あくまでも一つの意見として読んでください。)
デザインは当然大事ですが、もっと大事なものもあることを忘れないでくださいね。
■マイナス意見ばかりを並べる見かた
今度は男性に多い間違った見かたの紹介です。
それは『マイナス意見ばかり並べる』そんな見かたです。
『サッシはダブルでは家が寒くなる』『耐震等級3ではないのはありえない』『営業が設計をするなんて信じられない』『無垢材はメンテナンスが大変だから要らない』『機械で冷暖房するのは停電時には使い物にならない』etc,etc・・・・
そんなマイナスの意見ばかり言って見ている人がいます。
『なら見なければいいじゃん?』
多分営業マンの中の90%以上がそういった気持ちで接客をしていると思います。
特にコロナ以降のお客様の多くはしっかりと下調べをしてから来場される方が多くなりましたので、そういったことは事前に理解をされているお客様が多くなったので余計にそう思います。
お客様からしてみたら、そういったマイナスを全て解決する提案を熱く語ってくれるのを望んでいるのかもしれませんが、そんな時間のある営業マンはあまり今のご時世はいません。
営業だけをしていれば良かったコロナ前と違い、コロナ後は来場数が激減し、今後も増える見込みがないことから、多くの展示場で営業マンの人員調整が行われています。
私の知っている中で一番すごかった調整が、コロナ前は常時営業が10人いた展示場が、今では常時1人。
土日だけは追加で2人来て、3人体制。
激減したと言ってもそこまでは減っていないので、営業マンの負担は一気に増えていることでしょう。
その他にも、営業以外の仕事を割り振られることが多くなっています。
しかし、例年とノルマは変わらないので、営業に時間を避けなくなっている人や、新築だけではなくリフォームの営業も兼任するなどの人もいます。
そういった環境の中だと、出来れば自分達と意見が合う人と話をしたいと思うのは自然なことですよね?
なので、『なら見なければいいじゃん?』客は100%の接客をされていない可能性が高いです。
折角見に行ったんだから、色々と言いたい気持ちは分かりますがまずは抑えてしっかりと話を聞いておきたいですね。
特に仕様は性能は、展示場と自分の家とは異なりますので、そこまで気にしなくてもいいですよ^^
■実体験をしない見学の仕方
次は間違ったと言うよりは、もったいないと言った方が正しい言い方かもしれません。
皆さんは住宅展示場に行った時、リビングのソファーに座ったことありますか?
キッチンの前に立って、リビングを見渡したことは?
寝室のベッドに座ったことは?
吹き抜けから聞こえるTVの音量をチェックしたことは?
トイレに座ってみて奥行きや幅を確認したことは?
浴槽に入ってみてお風呂に浸かっている真似をしたことは?
実際にこういったことをする人ってそんなに多くないのですが、これをしないと本当にもったいないです。
と言うか、展示場はこれをする為だけに存在するものだと思ってくれていいくらいです。
先ほど言ったように、デザインや仕様、設備は今の時代どこの会社でもどのようにすることが出来ます。
なので、そういった意味で展示場を見学するのは意味が無いとまでは言いませんが、あまり成果のない行動になってしまいます。
それよりも、実際の家を体験できるのですから、上記に上げたようなことを確認していってはいかがでしょうか?
例えば、リビングのソファーに座った際のTVの距離感。
2Dの図面上はまとまって見えても実際には、近かったり遠かったり、個人差が大きいところになります。
設計士は一般的なサイズを書くことが出来ますが、その方の個人差まではさすがに全てを理解できません。
なので、こういった展示場で実際に体験してみるのが一番なんです。
TVまでの距離が3mでソファーを置いてある展示場もあれば、2m、4m、5mと色々な距離で、またTVのサイズも40インチ、45インチ50インチ60インチと様々なサイズで展示しています。
こういったことは実際に住んでみないと分からないと言いますが、展示場なら全く同じにはならないかもしれませんが、ほとんど同じサイズや距離を確認することが出来ます。
他にも、キッチンからLDKを見てみたときの距離感や解放感、寝室で寝て見たときのイメージや、子供部屋の広さ感覚、収納の広さなど、確認出来ることは山ほどあります。
こういった見かたをしていければ、将来実際に家を建てたときも大きな間違えが無く、家に住むことが出来ます。
住んでみて後悔することの多い項目に、もっと広ければとか、こんなに広くなくて良かったなどの項目があげられますので、そういったことを解決できるなら、今のうちにしておきたいですよね?
■絶対に駄目!ただ見たいだけ!
ただ見たいだけなんで営業さんはつかないでください!
うざったい営業の話は聞きたくない!
だから自分達で見て判断します!
これは本当に意味ないです。
と言うか、むしろマイナス。
しかし、今は住宅メーカーでもただ見たいだけのお客様の為の予約枠を取っている時代です。
だからなにがダメなの?って話かもしれませんが、本当にマイナスになるくらい駄目なことです。
理由がは簡単。
それは自分達だけでは間違った理解をしてしまうからです。
その理由をちょっとした例で説明します。
まずは下記の画像を確認してください。
あなたは軽トラックを中古で買いたいと思っています。
さて、この中でどれが一番だと思いますか???
・・・・・
・・・・・
・・・・・
多分ですが、この画像だけでは分かりませんよね?
この画像からは走行距離も、使用履歴も、搭載装備も何も分かりません。
なのに、この中から良いところを見て判断しようとしている行為。
これって意味がないと思いませんか?
さらに言えば、判断が出来ないからって外観だけきれいなものを選んだら、走行距離が一番多い車かもしれないと言ったリスクを背負います。
となれば、この画像からだけでは決められないし、決めたらマイナスになることが分かってきます。
これが住宅でも言えるんです。
ただ見て判断する。
これほど危なく危険な行為はありません。
自分達だけで判断して、本当は自分達に最適だったメーカーを無しにしてしまうかもしれないし、逆に最も駄目な会社を選んでしまうかもしれません。
もう、ハウスメーカーも決まって家が完成間近で、家具の色合いを見たいだけならいいかもしれません。
逆にこれから家を考えたいって方が、営業につかれるのが嫌だからって理由でただ見たいだけってことをするのは、本当にNGです。
人生を棒に振るかもしれません。
そのくらい住宅は高い買い物で、人生の多くを背負っている商品なんです。
だから、少しくらいうざったいと思っても、しっかりとした情報は聞いて回るようにしましょう。
そういえば、先ほど見たいだけ客の予約を取っていると言いましたね?
この意味って分かりますか?
嫌な言い方をすれば、『うちで家を建てない客の接客は面倒だからしたくない』って言うのを体よく言っているだけなんです。
なぜなら、こういったお客がその会社で契約をする確率って1~2%程度って言われています。
そんなお客に時間を取られるくらいなら、初めから話をしない方が良い・・・・
そういった本心を体よく整えているだけなんです^^;
■ブランドでフィルターを掛けてしまう見かた
長くなったので、これで最後にします。
最後に一番駄目な見かたです。
それは、『ブランドでフィルターを掛けてしまう見かた』です。
これは実に多い間違えです。
大手だから安心。
年間に数千頭建てているから安心。
大きな会社はお金に余裕があり倒産しないから安心。
大手は経験が豊富だから安心。
これ全部偽りです。
大手だからなぜ安心出来るのですか?
年間に数千棟建てていても、あなたの家を建てる予定の人は、年間に数棟~数十頭建てるのが限界です。
大きな会社が倒産しないという事実は、これまで色々な業界の大手さんが倒産したこと間違いだと分かっていますよね。
大手は経験豊富だから?大手の監督だったとしても、実際に担当する人が今回初めての現場ですってなったら経験豊富って言えますか。
たった一人が数千頭建てていれば問題ないのでしょうが、そんな人がいないことは理解出来ますよね。
こういったように大手だからとか、小規模な会社だからとかで判断するのは大きな間違いと言えます。
特に情報社会になり、経験や知識は物の数秒で手に入れることが出来るようになった今はほとんどその差が無くなっています。
また、コロナや円安、半導体不足のような対外的な理由で物の売れ方が大きく変わる時代になりました。
そうなると、多くの人を抱え、長い時間を掛けて多くの経験値を積み重ねる会社よりも、小回りが利き、その場での対応が可能な会社の方が生き残れる。
そんな時代に突入したとも言えます。
そうなるともう少ししたら、大手だからもしかして倒産するのかも?なんてことが常識になるかもしれません。
そういった影響もあり、今は各社保証を手厚くしている傾向にあります。
当社も大規模な会社とは言えませんが、大手と何も変わらない保証を実現しています。
なので、大手だからとか中小企業だからとかと言った会話は成り立たないと言い切れます。
昭和から続いた大企業依存病はここらで治してみたらいかがでしょうか?
■まとめ
今回も長文でしたが、お読みいただきありがとうございました。
昨今は展示場を見学する件数は数年前に比べ1/3以下になっています。
なので、一回一回の見学の重要さが増してきていると言うことです。
だから今回の記事のような間違った見かたをしないでもらいたいと思います。